【第3回】 文章を書いてお金をかせぐということ

今回はライターのメインであるライティングのお話です。ただ文章を書くだけと思われがちな部分ですが、そこにはお仕事ならではの問題もあります。もし文章でかせごうと考えている方がいましたら、多少なりとも参考にしていただけるかもしれません。

文章や表現は完全な答えが見つからない世界

ライティング、いわゆる文章を書く仕事というのはとくに資格のある業種ではありませんから、誤字脱字や文法無視などをのぞけば基本的には好きに書いてOKです。ただしその自由度ゆえに悩まされることも多いのがなんとも皮肉なところでもありますね。
たとえばRPGなどのゲームをプレイしているとして、同時期に登場するくせにやたら攻撃力にすぐれた敵がいるという状況説明をする場合。

1.【この敵は非常に強く、周囲の敵にくらべ格段に高い攻撃力を持つ】
2.【同時期に出現する敵のなかでは飛びぬけた攻撃力を持つ強敵】
3.【こいつ周囲のザコにくらべて攻撃力が異常に高い。強すぎるだろ】

といった文章はどれでも言いたいことは分かると思いますし、伝わるのだろうなとも思います。3は非営利系のネット攻略サイトなどで見かけるようなもので、ある種、稚拙な文章の一例として挙げたものですが、それはさておき1でも2でも「周囲の敵より攻撃力が高くて強い敵」という伝えたい部分は表現できています。

しかし出版社や担当編集によっては、1がまちがいだったり2がまちがいとなってしまいます。それは内容がちがうわけでも文がおかしいわけでもなく、単にやり方がちがうという問題だということ。つまり場合によっては、総合的にまちがっていないにも関わらず「ダメだ」と言われてしまうわけです。

この指摘を真面目に捉えすぎると「何がまちがっているのか。わけがわからないよ!」という悩みを抱えることに。その環境に応じて自身のやり方を変化させられないと、ライティングで生きていくのはなかなか厳しい、ということですね。もっとも、これが日本語でなければこんな悩みはなかったかもしれませんけど(笑)。

むずかしい言いまわしの文章は賢く見える?

文章についてよく誤解されていることのひとつが、むずかしい文章=高尚というイメージ。確かに文学作品ならそういう一面もあるのでしょうけど、ゲームライターが書くのはおもに解説ですからね。小学生などの子供を含め誰が目にするかわからない以上、内容が伝わるならばより簡単なほうがいいのです。

ネットではそのあたりの誤解があるのか、無理に、かつ無駄にがんばっている文章も多いですよね。「言いたいことが正しくても、正確に伝わらなければ意味がない」というわけです。もちろん、先の例であげた3のように「わかりやすい以前に文章として稚拙」というのはダメですけど。

低年齢層向けのお仕事はやっぱり簡単?

これについてはやや情報源が特定されそうな予感がしますね。でも、この仕事はペンネームでやっているから平気なはず……。それはともかく、ライティングには低年齢層向けの依頼もあります。

「低年齢層向けってことはそこまで高度な内容は問われないだろうし、ボーナスステージでは?」

そう思う方も少なくはないでしょう。事実、私も初めて受けた際はそんなことを考えなかったわけではありません(もちろん仕事として引き受ける以上、手を抜くとかは考えていませんよ?)。しかし仕事を始めてからはその考えが甘すぎることを痛感しました。

まず文体の問題にぶち当たりました。「○○だぞ!」「○○なのだ!」「○○してみてくれ!」といった語尾を多用させられたのですが、正直そんな文章は書けばまちがいなくNGだったので書いたことがなく、とにかく苦労したのを覚えています。その言い回しが低年齢層向けなのか、という疑問もなかったわけではありませんし。

つぎに文章量の問題が出ました。ページ構成案ではそれなりのスペースを取ってあると見たつもりでしたが、文章量が極端に減少していたのです。その理由は低年齢層向けということで文字が大きく、しかもルビ(漢字などの上につく読みがな)が入るためでした。これは完全に誤算でしたね。一般向けに慣れてしまったがゆえの失敗といったところです。

そして最後は表現の問題です。対象が低年齢層ということでむずかしい表現を避ける方向なのはわかっていましたが、わかりやすく書こうとすると、だいたい文字数は増えてしまうものです。しかも予想よりはるかに少ない文章量でそれを説明し切るのは、これまでにない困難でした。

このように、低年齢層向けのものは(私が慣れていなかったとはいえ)簡単なお仕事ではありません。内容自体も、非常に再現性が高い簡単なものでありながら十分な効果も求められますから、多少は高度な内容になってもいい一般向けのものより厳選する必要があるということもあります。

しかしそこまで苦労しても、最後の最後で「この先は君の目で~」と丸投げするおかげですべてが台無しに。とはいえ批判を受けてもブレずにスタイルを堅持し、それで生き残っているのですから需要はあるんですよね。ライターとしては、どうしても不完全燃焼のうちに終わってしまう感がありますけどね。

次回は原稿作成で多くの時間を取られる撮影について紹介しますね。

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著者プロフィール

台風一家ゲームライター
ゲームを始めて、はや○十年となりました。小さいころはロボアニメをよく見ていたせいか、ライターになってもロボにやたら縁があります。「誰かの成功から学ぶ」ためでなく「誰かの失敗を繰り返さない」ために歴史を学んでいましたが、あまりその教訓は生かされていない気がしますね。