名ゲームの影に、名曲あり。ゲームを語るときに忘れてはならないのが、そのゲームを彩るサウンドだ。このコーナーでは、ゲームミュージックをこよなく愛するライター・碧(みどり)が自信をもっておすすめできるゲームミュージックのサウンドトラックを紹介していく。

“Arc The Lad” Original Game Sound Track(1995年/Village Records)

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今回のアルバムは1995年発売の『アークザラッド』、いわゆる『アーク1』だ。ゲームの発売は1995年6月30日で、サントラが同年7月1日発売と、1日ずれている。ちなみにプレイステーションのハード本体は1994年12月の発売となっており、この『アークザラッド』はかなり初期の作品であることがわかる。

このゲーム、音楽担当が安藤正容ということで、当時のT-SQUAREファンクラブ会報でも記事になっていた。ゲームを起動すると、なるほど、「光と音のRPG」と謳っているだけあって、大容量になったCD-ROMならではの重厚な音が流れてきた。オープニングのオーケストラ以外も、それまでのゲームBGMで特徴的だったパルス音やリズムを構成するノイズ音はなく、さまざまな音色とドラム音に感動した。

サウンドトラックを聞いてみると、のっけからロイヤルフィルの重厚な音が広がる。T-SQUAREは、1992年にリリースしたオーケストラアルバム「CLASSICS」でロイヤルフィルと共演していて、その後も「HARMONY」、「TAKARAJIMA」と、オーケストラアレンジアルバムをつづけて出している。その流れでの収録だろうか。

ただ、CDを手に取ったとき、曲数が少ないのが気になっていた。それまで、ゲームのサウンドトラックといえば、使われているすべての曲を網羅して作られることが多かったからだ。だが、オープニング、エンディング、フィナーレあたりと各キャラの名前しか書かれていない。戦闘曲とか街のテーマが見当たらない。どこにいったんだ。

聞いてみて理由が分かった。打ち込みでもなく、ハードからの直音源でもなく、バンド形態での演奏が収録されている。1曲が4分超のものがほとんどで、まるっきりT-SQUAREのアルバムと言っても遜色ない。

2曲目の「Arc」は、中盤のギターソロ、終盤のEWIソロと、当時のT-SQUARE曲の構成を踏襲しているし、3曲目「Kukuru」の終盤ではギターソロのかけあいが行なわれている。4曲目「Poco」はゲーム中で4小節しか流れないが、そのコード進行を繰り返して5分超の曲にしている。ピアノソロは和泉節全開だ。もともとこれらの曲があって、ゲームには打ち込み簡易版が使われたんじゃないだろうか、とも思わせる。

当時T-SQUAREの5人(安藤正容、和泉宏隆、則竹裕之、須藤満、本田雅人)がすべて参加しているが、サポートミュージシャンの土方隆行と梶原順の名前も、フュージョンをよく聞く人なら知っているだろう。もうこのアルバムは、ゲームのサントラ、というより、1枚のフュージョンCD、と言ったほうが近い。純粋にゲームのBGMを求めている人にはすすめられないが、またちがった味わいのある逸品に仕上がっている。

■関連サイト

アーク ザ ラッド(ゲームアーカイブス)

■収録曲

1.Opening
2.Arc
3.Kukuru
4.Poco
5.Tosh
6.Gogen
7.Chongara
8.Iga
9.Finale
10.Departure
11.Ending
※……M1,9,10,11がロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ演奏

©1995 Sony Computer Entertainment Inc.

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著者プロフィール

碧(みどり)ライター
音楽好きな理系出身フリーライター。よくやるゲームは『リフレクビート』と『ぷよぷよテトリス』、『戦国大戦』。対戦格闘ゲームは『鉄拳』派、コンシューマはまったり派。『DQ』はII、『FF』はタクティクス、プロ野球は大洋ホエールズ。ゲームをやっていると、まずBGMが気になる。ゲーム音楽バンドがやりたい30代。