【第6回】超高難度のタイトルに苦悩する(前編)

お久しぶり、となりますね。台風一家です。前回までの記事でゲームライターの仕事についてはお話しましたので、今回からは仕事のなかであったさまざまなエピソードや変わった人物などのお話をしたいと思います。

最初に紹介するのは私のライター人生でも数少ない貴重な経験で、もうこの仕事はやっていけないのではないかと覚悟を決めた、唯一といっていい事案です。もちろん今もこうしてライターをつづけている以上、それは杞憂に終わりました。そのためいわゆる「オチ」はありますが、それに至る過程をお楽しみいただければ幸いです。

なんと開発機材が貸し出されることに

それは、モンスターを退治して素材を集め装備を作るあのゲームの爆発的大ヒットを受け、二匹目のドジョウと言うほどではありませんが恩恵にはあやかろうとしたであろうゲームの話です。

仕事を請ける前は「子供向けのタイトルで、メーカーも難易度は高くないと言っています」と聞いていました。それならば、今回の敵は以前にもお話をした、出版社ゆえの「ルビ(ふりがな)あり」や「級数(文字の大きさ)」によるテキストの短さか……などと考えつつも引き受けることにしました。個人的に好きなジャンルではありましたしね。

さて、この仕事で最初におどろかされたのが攻略で使う機材についてです。こちらも以前に触れたように、デバッグ用の本体とそれで起動する専用のロムを渡されるのが一般的な方法ですが、なんとこの仕事ではPC上で起動する開発ソフトがそのまま送られてきたのです。

なぜこうなったのかはよく分からなかったのですが、どうやらデバッグ用の本体を集められなかったとのこと。ただメーカー側もきちんとした本は出してもらいたかったらしく、苦肉の策として開発機材ごと貸し出されたようです。もちろん、ゲームを起動する以外には使わないという誓約はさせられましたが、いずれにしてもこのケースはライター生活でも二度とお目にかかってはいないレアケースですね。

これが子供向けだというのか!?

そんなこんなで始まったこの仕事ですが、開始早々につぎの問題が発生します。なんといいますか、簡単に説明するなら「異常なまでにむずかしい」のです。とても子供向けタイトルとは思えないほどに。

開発途中のゲームであれば、難易度が不自然なことは少なくありません。しかしこのタイトルはすでに開発が終了し、それゆえに開発機材ごと貸し出すこともできたのです。つまり、この難易度が緩和されることもないということになるのですが、正直のところおどろきました。

「今の子どもはこんなものを平気でこなすのか? しかしゲームセンターの子どもを見るかぎり、こんなの無理だぞ……」

このタイトルをプレイした第一印象はそれでした。タイトルが発覚しないようにややぼかして書きますが、あのタイプのゲームには力押しで攻略できないように大型モンスターが攻めているあいだ、プレイヤーは逃げるなり防ぐなりをしなければならない時間があります。それを無視して攻めれば大ダメージを受けるか、吹き飛ばされて結局は何もできないという目に遭うのです。

このタイトルにおいても、基本的にはそのルールに準拠していると思われました。しかし、まだ開始早々の弱い相手であろうにも関わらずスキが少ないのです。これではとてもじゃありませんが近づけません。射撃武器もあるので、それを使えということなのでしょうか……。

ですが近接用の武器も用意されている以上は、近接戦闘だって戦えるはずなんですよね。ゲームで仕事をしているプロとしての矜持もありましたから、射撃は使わず近接オンリーでプレイを進めました。

この手のゲームにはそれなりに慣れていましたし、自信もあったのですが……某グレート級や大連続うんちゃらもすべてソロでこなした身でも放り出したくなるほどの苦難の連続でした。なにしろ、光弾を放つ部分が光った瞬間に動きを止めていたら回避不可能で、それを2~3発も受けたら敗北となりクエスト失敗(3乙などという甘えはなかったw)なのですから。

あまりの困難さにほかのライターに話を聞く

私は相談するか、されるかで言うなら、どちらかといえば相談されることのほうが多い身でした。しかし今回ばかりはそうも言ってはいられません。他のライターさんなどに積極的に話を聞きました。やっぱりみんな苦労してるんだろうなあ……などと思っていましたが、返ってきた答えといえば

「あの光弾野郎と、もう一体メ○オみたいなのを使うボスはやばいっすね~」
「射撃のほうが楽な気はしますね。近接はちょっと不遇かも」

といった感じでそこそこ苦労する点はあれど、とくに困難に感じている様子はありませんでした。皆さんは初めてご一緒する若い方々だったので、相手の技量はよく知らなかったのですが、これはいよいよ私もロートルかぁなどと考えてしまったものです。

とはいえ私も一応ゲームに長けた「使い手」として仕事に呼ばれたわけですし、このまま醜態をさらして終わりというのはやっぱり受け入れられません。困難を乗り越え、どうにか一通りクリアして最初の顔合わせに向かうこととなりました。そして、その顔合わせの場で驚愕の事実が発覚することに……。

さて、今回はこれにていったん終了となります。次回では何が理由でこうなったのかも明らかになりますので、お楽しみに!

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著者プロフィール

台風一家ゲームライター
ゲームを始めて、はや○十年となりました。小さいころはロボアニメをよく見ていたせいか、ライターになってもロボにやたら縁があります。「誰かの成功から学ぶ」ためでなく「誰かの失敗を繰り返さない」ために歴史を学んでいましたが、あまりその教訓は生かされていない気がしますね。