第3回 『雷電II』の開発話! とうとう憧れのシューティングゲームを担当!

サウンドクリエイターの佐藤 豪です。遅いご挨拶になってしまいましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします! 年末年始はみんなどのように過ごされましたか? 俺は年末にふたたび熱を出してしまい、大晦日まで布団の上で過ごしました^^; 2014年は後厄だったので結構いろいろ不運がつづいたのですが、2015年は良い年になるといいなーなんて思ってます。

さて、前回は初仕事の『セイブカップサッカー』の開発話をしましたが、その後は『ゼロチーム』を、そのつぎに『雷電II』を担当してきました。今回はその『雷電II』制作のお話をしたいと思います!

開発中の『雷電II』を見て感動! テンションも↑↑!

『雷電II』は『ゼロチーム』を制作しているあいだに平行して別チームで開発がスタートしていたもので、たまに気になって途中経過を見せてもらったりしていた。『雷電II』の開発は順調に進んでいるようで、ボスの一枚絵がたまに表示されていたり、マップがスクロール表示テストされるところなどを確認することもできた。

そしてある日、社内が騒がしかったので、みんなが集まっている『雷電II』開発チームのところに行ってみると、丁度「プラズマレーザー」が実装されて動いているところだった。最初、このプラズマレーザーの動きを見たときは、とにかくビックリしたことを覚えている。

「なにこの動き!? 見たことない!」

ただひたすら衝撃だった。社内のみんなも本来の仕事そっちのけで順番にテストプレイして、プラズマレーザーを初めて動かしてみて「うぉー!」とか「スゲー!」とか騒いでいた。ほかにも『雷電II』はボスの演出とアニメーションがすごいと思っているけど、初めて1面ボスが実装されたときの重厚な動きと派手な演出は、本当に素晴らしく感動した。「これは売れる!」そう直感したものです。

当時、ゲーム開発の花形のひとつがシューティングゲームであり、自分の目標と憧れでもあった。いずれはこのゲームの曲を作る、という思いで断然テンションが上がり「やってやんよ!」くらいの勢いがあった。

新しく『雷電II』の曲を作ってみたものの……?

そしてその後『ゼロチーム』の開発が終わると、『雷電II』の開発にアサインされて着手開始。さあ、どんな曲にしようか? 初代『雷電』作曲の前任者には失礼だが、当時の若気の至り的な心境を恐れずに書くと、あの頃は初代『雷電』の曲を正直あまりいい曲と感じておらず、「全然ちがう路線で新しい『雷電』の作風に変えてやる!」ぐらいに思っていたのだ。

アップテンポなシューティングゲーム曲が好きだったので、ツーバス(注:ヘビメタ系に多いバスドラムを2つ使って、速いスピードでドコドコ連打する奏法)を多用したメタル色の強い路線にしよう、なんて考えていた。そんなわけで最初に作った曲は、『雷電』の激しく弾がばら撒かれた感じとリンクするような、勇ましい感じにしてみた。

はやる気持ちを抑えながら完成した曲を持って企画者の所に行き、テスト環境で鳴らすようお願いする。データのロードが終わるとテストプレイとともに曲が流れ出した。「超合うじゃん!」そう思いながら少し自信ありげに、企画者に「どうですかねー?」と伺うと……。

「勇ましすぎるね。『雷電』はもう戦いたくないのに、戦いに行かなくてはならないパイロットの苦悩と葛藤というテーマがあるから、もっと哀愁ただよう、心が晴れない感じを曲で表したいんだよ」

と一蹴されてしまった……orz

「なんだよー! 哀愁とかどうでもいいじゃん! ノリが良くてアツイ曲の方が絶対受けるのに~!」って思いながらも、「そうか、だから初代『雷電』はああいう曲調だったのか」と妙に納得したものだ。でも、やっとやりたいことができると思って期待していただけに、受け入れられなかったことでしばらく不貞腐れていたっけ(笑)。

でもこのことで、ゲームってただ作りたいものを作ればいいわけじゃないとか、社会人として、チームワークで行なう仕事とはどういうものなのかを学んでいけたとも思っている。

余談だけど、このとき作ってボツった曲は、『バイパーフェイズワン』の最終面の曲として使用してます(笑)。そう、「DESTINY」という曲がそれ。『バイパーフェイズワン』は『雷電II』とは全然ちがう曲調だけど、最終面だけなんか妙に『雷電II』っぽいって言われることがあった。大正解です。もとは『雷電II』のために作った曲だったわけだからね……(遠い目)。

ここでちょっと裏話的なネタをひとつ。『雷電II』の曲にはハイハットパートがありません。くわしくない方のために説明すると、ハイハットとはドラムキットのなかのひとつで、小さなシンバルが2枚重なっていて、チッチッチッ……というノイズを刻むやつです。

このころのFM音源主体のゲーム音楽では、これを短いノイズで表現することが多かったんだけど、『雷電II』のサウンドの性能はFM音源8声+PCM2声。しかもすべてがBGMに使えるわけではなく、効果音もこのなかで再生しないといけないから、実際BGMに使えるのはFM6声+PCM1声で、よく構成を考えて作らねばならなかった。

ハイハットはドラムのある楽曲ではほぼ100%出てくるし、外せない重要なパートなんだけど、そうすると残り5声で他のパートを作らなくてはならず、表現に深みを出すにはちょっと厳しい。そう考えて、あえてハイハットをナシにした。今なら5声でも豊かに聞かせる技術はあるんで全然余裕なんだけど、当時はまだ未熟者なこともあり……。とまあ、そういう経緯がありました。以上、『雷電II』裏話でしたー。

大ヒットした『雷電II』! デビュー3作目にしてサントラCDも

さて、『雷電II』開発時の話に戻るけど、やりたいことやろうとして玉砕したあとは、「はいはい、哀愁、哀愁。昭和歌謡や演歌のような曲を作ればいいんでしょ!」って若干不貞腐れた気持ちを引きずりながら、ひたすら作っていった。当時、若造だった気持ちをそのまま記したかったので、乱暴な書き方をしていますがご容赦くださいm(_ _)m

というわけで、歌謡曲っぽいとか昭和臭ただよう作風って今まで言われてきたけど、まったくそのとおりだったわけで。その後、自分のカラーの世間の認知がイコール昭和臭になるとは思わなかったけどね(笑)。

こうやって『雷電II』の曲は作られていったわけだけど、そんな背景があったので、じつはしばらく『雷電』シリーズの曲は好きになれなかった。だいぶ時間が経った2000年以降になってから、ファンの方に「最高です! 思い出の曲です!」と言われることもあって、ユーザーにとっては忘れられない思い出の一部なんだな、と理解して以後、ようやく好きになれた。これでまちがってなかったと思っているし、初代『雷電』も含め、今や『雷電』シリーズの曲はとても良い曲だと思っていますよ!

そんな感じで『雷電II』の開発は進んでいき、順調にロケテストを迎えた。基板を小脇に抱えた企画担当者に連れられて、いつもとはちがう(たしか調布だったかな)ゲーセンに向かう。前回も書いたけど、ロケテストの最初はとてもドキドキする。例えるなら「我が子の初めてのピアノ発表会を見守る」とか「コミケで出展して開場した直後」の気持ちに近いかも。

店の人に基板を入れ替えてもらって、『雷電II』はこのとき世界で初めてゲーセンに並んだ。さすがヒットした初代の続編だけあって、わりと遅い時間帯だったのにロケテ情報を聞きつけた数人のお客さんが人だかりを作っていた。稼動開始すると早々に、お客さんが絶えず入れ替わりでプレイしている。

やはり反応はとても良く、みんなプラズマレーザーと1面ボスの演出を見て、興奮気味だったのを覚えている。インカムも今まで担当したタイトルの2~3倍はあり、ただただ「スゲー! スゲー!」と成果に圧倒されてました。

こうして『雷電II』は初代につづいてふたたび大ヒット作となり、成功を収めた。こんなすばらしい作品を担当することもでき、さらには俺史上初のサントラCDも出させてもらえることになって、『雷電II』は自分がデビューしてわずか3作目にして、とても貴重な経験をもたらしてくれたのでした。

(文・佐藤 豪)

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著者プロフィール

佐藤 豪
佐藤 豪サウンドクリエイター
ゲームサウンドクリエイター。気が付いたら24年この仕事やってます。作曲はもちろん、効果音が好きで効果音の研究に取り組んでいます。代表曲は『雷電II』『バイパーフェイズ1』『チョコットランド』など。

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