第1回 企画屋のお仕事

初めまして。【風来の企画屋】と申します。まずは軽く自己紹介など。齢20歳にてゲーム業界にプログラマーとして入り、その後、企画屋に転身。いくつかの企業様にて企画担当としてお世話になったあと、フリーランスの企画屋となり、個人事業主として現在まで何とかつづけている状態です。

今回、この場でゲーム業界の面白い話、怖い話、タメになる(かもしれない)話を書かせていただける機会を頂戴いたしました。ありがたいものです。

初回となる今回は簡単に企画屋というモノは何を生業としているのか、具体的な仕事内容なぞを簡単に書いてみたいと思います。

あ……私の話はおもに「家庭用ゲーム機」や「家庭用ゲームソフト」に関してでありまして、昨今のソーシャルゲームやPCゲームについてではございません。あらかじめこの点につきましてはご了承下さい。ソシャゲやPCゲーの方はその道のプロの方がいらっしゃいますので、その方々におまかせいたします。

企画屋とはなんぞや?

そもそも企画屋とは「野球で言うところのコーチのようなモノ」ですかね。野球での監督の役割はゲーム制作ではディレクターでしょうし、ピッチャーのように試合ではひとりだけが頑張るという訳でもない(1ゲーム作るのに企画は何人も必要な場合がありますからね)。

となると、何か? ピッチャーやバッター、守備などを先導し、一緒に強くなろうとするコーチというのがしっくりきますね。えらそうで申し訳ないのですが、どうやったらいい絵になるのか、どうやったらうまく表現できるのか、といったことをほかの職種の方と一緒になって試行錯誤していくのが企画の役割かと思います。

当然、ほかの職種の方とある程度対等に話せるだけの知識や経験がなければ務まりませんし、ときにはまちがいを指摘したり、ズバッと物事を決定したりしなければならない関係上、ほかの業種の経験もしてないとダメですから、そういった面でもコーチというのが近いかと思います(ホントは他の職種の方に上から目線で教えられるような立場ではないんですけどね)。

そんな企画屋ですが、ゲームのことが好きな方でも具体的な仕事内容は意外とご存知ないかと思いますので、ざっと洗い出してみます。

 

1.ゲームの企画書作成

「こんなゲームが作りたい」「面白いアイデアを思い付いた」といったとき、それを第三者に伝えるために作るモノが企画書となります。隣の席の人や友人には口頭でも伝えられますが、会社になりますと自分がいないところでもその企画についてほかの人(上司など)が説明しなければならないため、その方が自分と同じく説明できるようにするべく書面化されているモノだとご理解いただけるとよろしいかと(本当は具体的な企画書とか載せたいのですが色々と事情がありますので……)。

自分から能動的に作ることもありますし、会社から「こういったジャンルの企画を考えてくれないか?」と言われて作ることもあります。どちらかと言うと前者の方がやる気が出ますね(笑)。ただ、後者の方が企画書完成までの時間が早いです(納期に追われている&ダラダラやらないから)。

この企画書をもとに内容を検討し、発売できそうか、発売したら売れそうか、売れるとなった場合にいつから作り出すのか、スタッフは誰と誰が良いか……などが会社の上の方で話し合われることとなります。

最初は予算やスケジュールについてなどを記載せず、ゲームの面白さやルールなどについてだけ書いた「提案書」や「草案」と呼ばれるものを作ることもあります。これは会社ごとにちがったり、作り手ごとにちがったりします。正直、私は「企画提案書」と「企画草案書」のちがいがまったく理解できておりません。

その後、GOサインが出たら予算やら有名どころスタッフの経歴やらスケジュールなどを追記、ということもあります。

企画書自体の見栄えを良くするために絵やレイアウト、ページ構成などを検討しつつ作成するため、結構な作業時間を要します(その割には「え? 企画書なんて誰でも作れるでしょ?」と簡単に考えられているフシがあり、ちょっと残念)。

ただ、実際に企画書作成というのは企画屋の仕事の中では作業量的にも、作成する機会的にも少ないですね。主な作業はつぎの「仕様書作成」になりますので。

 

2.仕様書作成

企画書をもとに会社がチームを編成し、「さぁ、このゲームを作るぞ!」となったら、つぎはゲームを作るために必要な設計図=仕様書の作成に入ります。

ゲームルールやゲームクリア条件、ゲームオーバーはどうするか。画面構成、ステージ構成はどうするか。敵や町の人、アイテムなどはどうするか。そもそも敵やステージはいくつ必要なのか? などなど。

何せ影も形もまったくない状態、ゼロから作るのでやることは多岐に渡ります。先ほどの「企画書」が市販されているプラモデルの見栄えのいい外箱とすると、肝心の中身を作るために必要な組立書が「仕様書」とお考え頂ければ分かりやすいかと。ただ、プラモデルとちょっとちがうのが、肝心のプラスチックのパーツを作るためにも別途書類が必要なのですが……それについては後述します。

仕様書についてはここで細かく説明すると大変な行数になってしまいますので割愛しますが、企画屋の7~8割がたの仕事が仕様書作成になるかと(私は)思います。機会があればここでも簡単な仕様書の作り方や具体的なアイデアの出し方なども書かせていただければと思いますが、とりあえずものすごい労力と時間が必要なことだけは先にお伝えしておきます。

 

3.発注書作成

さて、ゲームの仕様がある程度固まってゲームを作り始められる状態になってきたら、先ほど書いたとおり「プラスチックのパーツ作り」が必要です。パーツが無ければ組み上げることはできませんからね。

そのために必要な書類が「発注書」となります。

たとえばひとつの町を作ろうとした場合、どういった町でどういった施設や建物があるのか、その建物がどこに配置されているか、出入口はどこなのか、町の人たちは人間なのか、それ以外にどういったモノが必要なのか……などを具体的にまとめてデザイナーさんに発注します。

これは絵だけではなく、音楽や効果音にも言えますね。なので、デザイン発注書とは別にサウンド発注書というのも必要になってきます(ま、ほかにもシナリオやらムービーやら山ほどあります)。

仕様書の段階ではルールやシステム面での記述が多いですが、発注書を作成して仕様書の穴や抜けなどが発覚する事もありますので、そういった場合は仕様書修正も同時に行なっていきます(ひぃ~、大変だ)。

 

4.チェック&調整

パーツが出来上がってくると仕様書をもとにプログラマーさんがどんどん組み上げていくのですが「作って終わり」でないのがビジネスソフトとゲームの大きなちがい。ゲームの場合、出来上がって遊んでみてつまらなければ面白くなるまで調整をしなければなりません(下手したらルールや仕様の変更なんてのも……)。

なので、ある程度出来上がってきたらチェックを入念に行なって問題が無いか、おもしろくなっているかなどを検討し、それと同時により良くなるように調整していきます。これに時間がかかるんだ(笑)。

一般の人に「ゲーム屋さんって一日ゲームやってればお金貰えるんでしょ?」と言われることがあるのですが、その方は上記のチェック&調整の最中の現場を見て出たセリフかもしれません(ちがうかな)。

確かに遊んでいるように見えるかもしれませんが、自分が作ったルールで根っこの深いところまで熟知しているゲームを朝から晩までチェックしているのはそこそこしんどいです。なので、もし今後どこぞでゲーム製作者に会ったら「ゲームで遊んでいるだけ」とかは言わないで下さいね。

企画屋の仕事内容としてはザックリとこんな感じでしょうか。途中の「3.発注書作成」と「4.チェック&調整」のあいだにはデータ作成というのもありますし、調整のあとも説明書作成やらデバッグ、広報さんへの手伝いやら何やら残っていますが、ゲームを作る部分だけに関して言うと上記のとおりです。

そんな仕事をやっている企画屋がこれからここで何を暴露して行こうかと思案中ですので、よければまたのぞいていただければと思います。

長くなりましたので、今回はこのへんで。お相手はゲー(ム業界)歴26年の【風来の企画屋】でございました。

(文・風来の企画屋)

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著者プロフィール

風来の企画屋ゲームプランナー
中古ファミコン屋店長からスタートし、プログラマーを経てゲーム企画屋に。ディレクターも頼まれればやるし、プロデューサー経験もあるが「やっぱり企画が面白い!」と企画に固執いているオッサン。来年発売のダライアスをPS4版でやろうかVita版でやろうか悩み中。