名ゲームの影に、名曲あり。ゲームを語るときに忘れてはならないのが、そのゲームを彩るサウンドだ。このコーナーでは、ゲームミュージックをこよなく愛するライター・碧(みどり)が自信をもっておすすめできるゲームミュージックのサウンドトラックを紹介していく。

■THE BLACK MAGES(2003年/デジキューブ|2004年/スクウェア・エニックス[再販])

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「ファイナルファンタジーシリーズ 初のバトルアレンジ・コンピレーション」の帯を見て、おっ、と思い手に取って、妖星乱舞が入ってる! と即買いした一枚。『ファイナルファンタジー(以下、FF)』のバトルミュージックのみを「ハードロックチューンにリアレンジ」したと書いてある。植松伸夫プロデュースとも書いてあり、公式からの発売というのも購入を決めさせる一手だった。

このアルバム、プログレッシブロックとも言われているが、聞いてみるとロック寄りフュージョンと言ってもよさそうだ。全曲インストゥルメンタルで、ギターソロあり、シンセソロありで、きちんと曲として完結している。ただ、この1作目はベースやドラムが打ち込みということで、ギターとシンセしか目立たない感じもする。

そして、このアルバムが発売されたあとに、正式に「The Black Mages」としてスクウェア社員によってバンドが組まれ、ライブが行なわれ、計3枚のアルバムが発売された。『FF』や『ドラゴンクエスト(以下、DQ)』はオーケストラCDがあるものの、バンド形態というのはめずらしい。 続発の「The Black Mages 2」、「The Black Mages 3」ではドラム、ベースも演奏され、ライナーに担当楽器も載っている。こちらのほうが、打ち込みありの本アルバムよりもまとまって聞こえるが、それはまたの機会にレビューするということで、収録曲レビューいってみよう。

まずは『FF I』のノーマルバトル。1曲目ということでの選択か。ギターソロとシンセソロのかけあいがかっこよく、おいしい。ギターのカッティングもいい。『FFI』未プレイだが聴き入ってしまう。曲の重さやアレンジの傾向など、アルバムの全体を印象づけるのに成功している。

そして2曲目は名曲の「ビッグブリッヂの死闘」。ワンコーラスまわったあとにおとなしめのシンセソロを経て、ギターソロで盛り上げ、すぱっと終わる。これ実際に演奏したら盛り上がるだろうな。

3曲目は、『FFVIII』の「Force Your Way」と、疾走感のある曲がつづいたところに『FFII』の「戦闘シーン2」が遅めのテンポで奏でられる。アルバム全体の構成も考えられているようで飽きさせない。

5曲目~6曲目は『FFVI』が並ぶ。5曲目は中ボステーマの「決戦」で、6曲目が通常バトルの「戦闘」となっている。おとなしめのイントロから入る「決戦」は、ギターがメロディを取り、原曲を彷彿とさせる演奏なのに対し、「戦闘」ではテンポが落とされている。しかし、落ち着いたアレンジではなく、ドラムがどこどこ暴れていたりギターもぎゃんぎゃんいっていたり、ロックを意識した重めの曲になっている。ただ、タムやスネアのベロシティが一定すぎて、このドラム打ち込みだよね、と思わせてしまうのがもったいない。

7曲目、「J-E-N-O-V-A」。それまでの重い「ロック」調アレンジと違い、これドラムというよりリズムトラックだな、という打ち込みと、ベースもそれほど目立たない音色でまとまっている。ソロもストリングスっぽい音色がチョイスされていて、全体的に軽いアレンジとして仕上がっている。聞き比べてみたが、原曲はティンパニがバンバン鳴っていた。

つづいて「更に闘う者達」と『FFVII』がつづく。イントロにカウベル合うなー。『FFVII』といえば『FF』初のプレイステーション(以下、PS)プラットフォームということで、音に驚かされた作品だった。もうこれ映画やドラマのBGMとゲームBGMって、差がなくなってきてる、とプレイしながら感じたものだ。

そして9曲目「妖星乱舞」だよ。これ本当に演奏したのかできるのか。12分超の大作。こんな曲を作るのもすごいし、これがゲーム曲というのもすごい。ぜひ生で聴きたい。ケフカ戦だけではなく、その前のバトル曲も収録されている。

『FFVI』を最後までプレイして、ちょっとは音楽を演奏する人なら、この最後のケフカ戦、何拍子だ、と思うよね。演奏できないよね。もうほんと、ドマで毒を流してるあたりで始末しておくべきだったケフカ。まさか○○がこいつだとは思わなかったケフカ。『FFVI』は、この曲といい、オペライベントといい、エンディングといい、長い曲も多い。

トリは『FFX』の「シーモアバトル」。こちらはPSからPS2になってのBGMということで、PS2音いいなあ、と実感した。これも一部4分の7拍子(4/4+3/4の繰り返し)の部分があって、演奏するのむずかしそうだな、と思わせる。

プレイしていてこの曲はあまり印象になかったが、このCDで聞いてみるとなかなか好みだったので、聞き比べてみたら、原曲はちょっと軽い感じがした。演奏で印象が変わってくるものだ。

通常、ゲームサントラというと、プレイしていないCDなんて買わないのだが、これは買ってよかった。フェイドアウトもほとんどないので、バンドでコピーするときに終わり方を考えなくてもいい。

しかし、ジャケ裏の写真が万年床にギターやPCキーボードなど。これは変わっているよなあ、と、ちょっと思った。

■関連サイト

SQUARE ENIX MUSIC/THE BLACK MAGES

■収録曲

1:Battle Scene(「戦闘シーン」FFI)
2:Clash on the Big Bridge(「ビッグブリッヂの死闘」FFV)
3:Force Your Way(「Force Your Way」FFVIII)
4:Battle, Scene II(「戦闘シーン2」FFII)
5:The Decisive Battle(「決戦」FFVI)
6:Battle Theme(「戦闘」FFVI)
7:J-E-N-O-V-A(「J-E-N-O-V-A」FFVII)
8:Those Who Fight Further(「更に闘う者達」FFVII)
9:Dancing Mad(「妖星乱舞」FFVI)
10:Fight With Seymour(「シーモアバトル」FFX)

(C) 1987,1988,1992,1994,1997,1999,2001,2002,2003 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

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著者プロフィール

碧(みどり)ライター
音楽好きな理系出身フリーライター。よくやるゲームは『リフレクビート』と『ぷよぷよテトリス』、『戦国大戦』。対戦格闘ゲームは『鉄拳』派、コンシューマはまったり派。『DQ』はII、『FF』はタクティクス、プロ野球は大洋ホエールズ。ゲームをやっていると、まずBGMが気になる。ゲーム音楽バンドがやりたい30代。