第5回 『ライデンファイターズ』の楽曲制作! テクノで大苦戦!!!!!

もうすっかり春。今年は花粉症が大当たりで、薬なしではまともな生活ができないくらいキテます……。

暖かくなってくると出かけたくなります。行きたいところもたくさんあって、昔、数年住んでいた大阪や、某アニメの聖地となってる尾道、富士五湖もご無沙汰だし、今年はいろいろと巡りたいですね。

さて、今回は初代『ライデンファイターズ(以下、RF)』楽曲制作の話をしたいと思います! 本当は『戦球』や『E雀ハイスクール』の話もあるけど、引っ張れるほど話がつづかないので飛ばします(笑)。

ちょっとだけ触れると、『戦球』と『E雀ハイスクール(以下、E雀)』は初めて声優を使ってるんだけど、これらは社内の声優事務所とつながりのあるスタッフにお願いして起用したんだよね。収録スタジオの選定からすべてそのスタッフまかせで、自分はただ収録に立ち会って、その後編集をしたくらい。

『戦球』が渋谷のスタジオ、『E雀』が銀座だったっけ。『E雀』の声優さんのひとりが可愛くて好みだったの覚えてる(笑)。今では声優の収録は日常的に自分でやってるし、声優事務所に連絡して起用や契約も自分でやってるんだけど、当時はそんなところまで将来やるとは想像もしなかったなぁ。

悩みながら作った『ライデンファイターズ』の楽曲

『RF』の企画者は、『雷電』シリーズや『バイパーフェイズ1』ともちがう人が担当でした。いつものようにどんな音楽性で行くのかを聞いてみると、90年代初期に大流行りしたジュリアナ東京路線、つまりレイヴ系で行きたいという。

正直このころ、すでにレイヴは下火だったんで、最初に少しレイヴとは離れた楽曲を企画者に提案した。「でも、やっぱりレイヴがいいんだよね」ということだったので了解し、レイヴ路線で進めることに。

さて、ここで大きな問題が。じつはテクノというジャンルは多少聴いてきてはいたけど、まったく作ったことがなかったので、いざ作ってみると全然できない……。「テクノ」ってすごい幅の広い言いかたなので、一言で説明できる代物ではないんだけど、基本、Bメロがあったり、サビがあったりという明確な進行がなく、繰り返しフレーズのパートをどんどん足したり、組み合わせて展開していく。

でも、フレーズを繰り返しながらパートを足していくだけではどうも面白みがなく、すぐ30秒くらいの長さで煮詰まってしまい、どうしても1分半~2分くらいの長さにすることができなくて、ものすごーーーく悩んでしまった。テクノは、経験のないバンド人間にとっては、それはそれは不可解でむずかしいジャンルだったのだ。

テクノは、楽器構成もバンドサウンドより自由でなんでもあり。たとえば、ハイハットパートはバンドをやってきた人間にとっては1パートなのが当たり前なのに(ドラマーがひとりで叩くわけだから)、テクノはふたつかそれ以上のハイハットパートが当たり前のように入っており、複数のハイハットパートをどう構成して組み立ててよいかすら、まったくわからなかった。

ハイハットだけでなく、スネアドラムだってなんか普通に2種類以上あるし、ひとつの音で済むものを、わざわざ数種類にする意味すらわからなかったり。いろいろ参考曲をものっっすごーーくたくさん聴いたけど、それでも理解できずに本当にかなりのあいだ、悩みつづけたっけ。

そんな大苦戦をしながら、たくさん作っては捨て、作っては捨てを繰り返し、やっと少しずつなんとなくツボがわかってきて、最終的になんとか製品に載せられるくらいには持っていくことができました(それでもなんかちがうって感じで、本当に理解できたのは5年後くらいなのだが)。

『RF』は、曲調のコンセプトとしてひとつだけやりたいことがありました。それは、単にレイヴらしい曲調にするだけでは面白みがないので、スラッシュメタルのようなリフを土台とするような、少しロックの色もある楽曲にしようと。

レイヴはもともとそんなフレーズも少なくはないので、とくに奇抜なことでもなかったし。なので『RF』の楽曲全体でなんとなく、スラッシュメタルっぽい印象を持った人もいたんじゃないかな。

「ツクツクボウシ」の鳴き声を入れたい!

音色や機材もいろいろと初めての経験が多かった。テクノ系の音楽にはアナログシンセが欠かせない(これを言い切ってしまうのも微妙だけど)。セイブ開発でも、このころに出たばかりのNORD LEADというアナログシンセを導入したので、基本的にはNORD LEADメインで作っていった(純粋なアナログシンセではないけどね)。

そのほか、当時誰もが持っていたRoland JV-1080、サンプラーAKAI S2000も使ったりして、入社当事とくらべたら、やっと一般的なミュージシャンらしい機材になってきてたね。あ、JVは私物だったけど(笑)。

制作中で思い出深いのは巨大敵エリアBGM。この曲、とにかくおかしなことをやってみたくて、じつは当初、蝉の「ツクツクボウシ」の鳴き声を入れようと思ってました(笑)。当事、音楽的な鳴き声を出す生き物ってなんだろうなってなんとなく興味持ってて、ふと「ツクツクボウシってすごくね?」って思ったんですよ。

鳥とか……例えばカッコウはわりと音程もしっかりしてて音楽的だけど、しょせんループフレーズレベル。でもツクツクボウシの鳴き声って、イントロがあってメインフレーズがあって、エンディングもあるんですよ?

しかもイントロはクレッシェンドしてくるし、エンディングも絶頂感を出しつつ、最後は「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー~!」とリタルダンドしながら終わるという。なんだこの生物(笑)。

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(イラスト・花八)

そんなこと考えていたら、もう断然ツクツクボウシの鳴き声入れたい衝動に駆られたのだけど、どうせ皆から反感買うんで結局止めました(笑)。メインフレーズの「オーシ、ツクツクツク」って何拍子なんだろう(笑)? ツクツクツクって刻んでるとか、ギターのリフかよと(笑)。

テンション維持のためなら徹夜も辞さない!

当時の思い出といえば、『RF』では徹夜もたくさんしました。これは徹夜しないと間に合わないようなタイトなスケジュールと言うわけでもなく、上司とかから命じられたわけでもなく、自主的なものです。先述のとおり、いろいろと苦戦しながら作ったもんだから、夜遅い時間まで作ってて調子がいいと、このまま帰って明日調子悪かったらどうしよう……というか、調子がいいときはとことん仕事してしまえ!的なノリで、意図的に徹夜に突入した感じ。

巨大敵エリアボスを作ったときもそうだったし、荒地ステージBGM、最終面の要塞ステージもスタッフロールもそう。今でもこれらの曲を聴くと、徹夜してたその当時のことを思い出します。椅子を3つくらい並べて寝てて、朝、事務のおねーさんが出社してきたら起こしてくれる。そんでそのまま近所のマクドナルドに朝御飯買いに行って食べたり。懐かしい。

そんなわけで、以上、『ライデンファイターズ』の楽曲制作秘話でした。

(文・佐藤 豪)

【イラストレーター紹介】

花八 イラストのお仕事をしております。BLのソーシャルゲームでカードやスチルのイラストを担当させていただいております。お仕事募集中です。よろしくお願いいたします。

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著者プロフィール

佐藤 豪
佐藤 豪サウンドクリエイター
ゲームサウンドクリエイター。気が付いたら24年この仕事やってます。作曲はもちろん、効果音が好きで効果音の研究に取り組んでいます。代表曲は『雷電II』『バイパーフェイズ1』『チョコットランド』など。

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