名ゲームの影に、名曲あり。ゲームを語るときに忘れてはならないのが、そのゲームを彩るサウンドだ。このコーナーでは、ゲームミュージックをこよなく愛するライター・碧(みどり)が自信をもっておすすめできるゲームミュージックのサウンドトラックを紹介していく。

■ナムコ ベストヒットパレード!/(1989年/ビクターエンタテインメント)

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前回は『ドラゴンクエスト』のボーカルアルバムを紹介したが、今回紹介するのは、ナムコのボーカルアルバム「ナムコ ベストヒットパレード!」だ。

地味なジャケットデザインに、盤面デザインも曲名だけというシンプルさだが、『マッピー』に『ディグダグ』、『ラリーX』、『リブルラブル』など、なかなかいいタイトルがそろっている。

それもそのはず、このアルバムは先行発売されていた「ナムコットゲーム ア・ラ・モード」や「ビデオ・ゲーム・グラフィティ」から歌ものを集めたベスト盤だ。新録として『オーダイン』から1曲と『チャイルズクエスト』から2曲の、計3曲が収録されている。

どの曲もプレイ経験があればわかるメロディーラインに、ゲームをやりこんでいた人なら思わずニヤリとしてしまう歌詞と、今聴いてもツボを押さえている。

かぎられた音数で表現せざるを得なかったゲームのBGMも、80年代後半から、作曲者たちがひとつの完成形を作ろうとしている。

ゲーム中で3和音だった音が、演奏されたりほかの音源で打ちこまれたりして、ただのパルス音ではなく「曲」として存在するようになってきた。そんな時代を感じることもできるCDに仕上がっている。

ボーカル入りゲーム音楽といったらこのCDに収録されている曲たちは外せない。それくらい、いい曲がそろっている。

■曲紹介

1.素敵なオーダイン(歌:くさかべまき)/オーダイン
作曲は細江慎治氏。第1回『テクニクビート』で触れたSampling masters MEGA氏の、初期作品といってもいいだろう。氏は『ドラゴンスピリット』やロッテルダムテクノなどが有名だが、こんなポップな曲も書いている。シューティングゲームもBGMひとつでイメージが変わる。

2.ベラボーマン(歌:梅津秀行)/ベラボーマン
ヒーローものメインテーマのおもむきがただよう1曲。ゲーム中でベラボーマンの声を担当している梅津秀行氏がボーカルを担当していて、バンド形態の演奏で気持ちよく聞ける。『テクニクビート』でやりこみすぎたため、曲を聴いていて譜面が浮かんだこともあった。ちなみに梅津秀行氏は声優として現在も活動している。

3.ちょっとマッピー男の子(歌:ツベルクリン)/マッピー
おニャン子? と一瞬思ってしまうようなアレンジと歌いかただ。そして、この「ツベルクリン」が何者なのか、何人組なのか、さっぱりわからない。随所に使われているエクステンドSEやミスSEが、ゲームをやりこんだ身としてはたまらなくツボだ。

4.アドバンテージ・ラブ(歌:貴家堂子)/ファミリーテニス
ここで貴家堂子氏の名前を見て、「マジか」と反応する人は相当な強者ではないだろうか。「天才バカボン」のハジメ、「ハクション大魔王」のアクビ、そして国民的サンデーアニメ「サザエさん」ではフグ田タラオと、メジャーな声を担当している声優である。1分ほどインストでテーマが流れたあと歌が始まる。好きなキャラを浮かべて聞くとまたちがったおもむきが感じられる。

5.花のチャイクエ音頭(歌:チャイルズ)/チャイルズクエスト
チャイルズといえば、磯野貴理子を筆頭にした三人組。タイトルに入っているだけあって、音頭調の1曲。『チャイルズクエスト』は未プレイなので、Wikipediaを参考に歌詞を一部解読してみた。

――それ しいここ しいここ うれしいな

「しいここ」とは、プレイヤーが使うまほうで、チャイルズメンバー全員の「にょうい」を解消するのだそうだ。……機会があったらプレイしてみよう。

6.恋のダーク・ホース(歌:飯田久彦/実況:高橋卓士)/ファミリージョッキー
「うちのルイジアナ部長」こと飯田久彦が歌う『ファミリージョッキー』。ゲームとおなじ調子の軽快な曲調が心地よい。飯田久彦は1962年に「ルイジアナ・ママ」で紅白出場している歌手だが、88年「ナムコットゲームア・ラ・モードVOL.2」収録当時はビクターの制作部長だったようだ。曲終盤に入る競馬実況が印象的。

7.かっとびラリーX(歌:円快注)/ニューラリーX
ロック調に仕上がった『ニューラリーX』。『ラリーX』や『ニューラリーX』といったら、せまい道をフラッグ求めてぐるぐるまわる、という追いかけっこゲームのイメージだが、このアレンジはレースゲームのBGMにすればしっくり合いそうだ。ギターとバスドラムとボーカルのシャウトが耳に残る。

8.レベルUP!ときめいて(歌:チャイルズ)/チャイルズクエスト
チャイナ風なイントロだが、聴いているうちに普通のアイドル曲に聞こえてくる。間奏ではギターソロがぎゃんぎゃん言わせているが、曲やゲームのイメージからか、あまり印象に残らない。

9.ダンシング・ブービー(歌:金沢明子)/ナムコクラシック
紅白にも出場歴のある金沢明子をボーカルに、演歌風に仕上げている。「こ~の~芝目が~憎いわ~」が耳に残る。とてもゴルフの曲だとは思えないいい曲。

10.恋のディグダグ(歌:まさごろ)/ディグダグ
「ディグダグ」といえば、追いつ追われつでいそがしい操作が要求されるゲームだが、ほんわかしたテンポにアニメ声がマッチする。歌詞も女性視点の恋愛ものになっているが、「パンクするほど ディグダグしてね モリでつついて」などところどころゲームを連想させる単語が入っている。

11.目蒲線の女-リブルとラブルのお話-(歌:日吉ミミ)/リブルラブル
さらにテンポを落とされた演歌調、というより、日吉ミミの名前に反応する人もいるのではないだろうか。カラオケに入っていたらぜひ歌いたい。その場でゲーム曲だと見破れる人がいたら友達になれそうだ。

12.ワンダーモモ(歌:TAKA&まさごろ)/ワンダーモモ
ディレクターとアレンジャーにより「アイドル&ヘビメタ」にしようとくわだてられた1曲(「ナムコグラフィティコレクションベスト10」ライナーより)。ゲーム中のBGMをそのまま豪華にしたような構成で、曲を聴いているだけでモモが変身するのがわかる。ゲームを知っている人も、そうでない人も一聴の価値あり。

このアルバム、ロックからポップから音頭、演歌までカバーしているオールジャンルのCDにできあがっている。ほかにもナムコの歌ものは秀逸な作品が多く「爆裂クイズ魔Q大冒険」も好きな一曲だ。

こちらはゲームリリースが1992年という関係上、このアルバムには収録されていない。ぜひバンナムさんには「ナムコ ベストヒットパレード2」をリリースしてほしい。

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著者プロフィール

碧(みどり)ライター
音楽好きな理系出身フリーライター。よくやるゲームは『リフレクビート』と『ぷよぷよテトリス』、『戦国大戦』。対戦格闘ゲームは『鉄拳』派、コンシューマはまったり派。『DQ』はII、『FF』はタクティクス、プロ野球は大洋ホエールズ。ゲームをやっていると、まずBGMが気になる。ゲーム音楽バンドがやりたい30代。