第6回 『ゼロチーム』、『戦球』、『E雀ハイスクール』などの話を一挙まとめて公開!

セイブ開発在籍時の話も終わりにさしかかってるんだけど、ほかのゲームについても語ってほしいというリクエストがあったので、今回はこれまでに語れていない部分をピックアップしてお届けします。

『ゼロチーム』のBGMは「インディ・ジョーンズ」で!?

まず、『ゼロチーム』から。『ゼロチーム』はアメコミヒーロー的な絵柄なんだけど、BGMに求められていたのは冒険映画の「インディ・ジョーンズ」で、企画担当者にも「できることなら『インディ・ジョーンズ』のBGMをそのまま使いたいくらいなんだよ」と聞かされていました。

「アメコミ」×「インディ・ジョーンズ」の組み合わせは意外な印象だったので、多少ロック寄りに作って聴かせてはみたものの、なかなかOKがもらえず、初めてリテイクで苦労した作品でもあったっけ。

最初に作った1面のゲーム中BGMは2ヵ月くらいかかってやっとOKをもらえたぐらいで、トータルで5、6曲リテイクになってしまった。いっそのこと自分の考えを一切捨てて、まんま「インディ・ジョーンズ」を作ってやるわ~って思って作ったら、すんなりOKが出たり(笑)。

あと、つらかったのがプレイヤー選択画面の曲。一度はOKをもらったんだけど、しばらくして「何かちがう気がしてきた」って言われて3回くらい作り直したり。当時は新人だったので何も言えなかったけど、今だったら「一度OK出したことに責任持ってください」って言うと思う(笑)。

あ、余談だけどボスの「うわぁ~!!」ってやられ声は俺の声です(笑)。

作風をガラっと変えた『戦球』

つづいて『戦球』。こちらは『バイパーフェイズ1』と同じSPI基板の第2弾だった。人生初のパズルゲームを担当したんだけど、意外と雰囲気や盛り上げる演出が難しくて結構大変で。

このころ、オランダのサックス奏者ダルファーに凄くハマってて、ダルファー的なファンキーな要素もちょっと趣味っぽく入れたり、作風としてもそれまでの路線とはことなるものでした。

開発初期はノウハウなどの問題からパズル性よりも偶然性が勝るようなゲームだったけど、最終的に偶然性のいいところは残しながら、戦略性要素もうまく取り入れることができたようで、このころヒットしていた『テトリス』や『ぷよぷよ』などと比較しても差別化が図れた、いいパズルゲームになったと思ってます。セイブ開発の隠れた名作というか。

実際にユーザー層としても「『テトリス』や『ぷよぷよ』は苦手だけどパズルゲームを楽しみたい!」というライトユーザーを取り込むことができ、大ヒットでこそないものの、息の長い作品になったようです。1995年に発売したのに、2000年代に半ばでも結構ゲーセンに置いてあって、「すげー! まだ置いてある!」ってよく思ってました。

最近知ったんだけど、この戦球、携帯ゲームにもなってたのね。

お気に入りの曲が多かった『E雀ハイスクール』

つぎは『E雀ハイスクール(以下、E雀)』の話。以前から思ってたんだけど、シューティングを得意としているゲームメーカーって、なぜか麻雀ゲームもわりとヒット作出してるんだよね(笑)。

『E雀』は脱衣麻雀で、麻雀で勝つたびに対戦相手の女の子が脱いでいくというタイプのゲーム。そんなこともあって、BGMは対戦相手の女の子をイメージした、アイドルソングというかアニソン調というか、そんなサウンドで統一していった。

だけど、いざ1曲目が出来上がってゲームに組み込んでもらうと、なぜか皆から大不評……。「萌え萌えした感じを前面に出して欲しくない」とか「軟派な感じでいやだ」とか、そんな意見が大半。『雷電』からの伝統もあってか、スタッフも硬派な感じの楽曲を好んでいて違和感があったのかもね。

でも、『E雀』は女の子たちがメインのゲームだし、企画者ともそういうコンセプトをすり合わせたうえでの決定だったので、結局方向性は変えずにそのまま発売となりました。

この『E雀』で初めて前曲『雷電』などとは真逆な音楽を生み出していったんだけど、じつは個人的にもかなり気に入っている楽曲が多いです。一度だけバンドで演奏したこともあるし、いつかアレンジバージョンの制作や、ライブとかでももっと演奏したいと思ってるくらい。多分そんな遠くない将来、何かしら実現させるかも!

家庭用移植タイトルの楽曲秘話!

最後に、初代プレイステーション(以下PS)案件もまとめて話してみようかと。セイブ開発はいわゆるアーケードゲームの制作が主軸のゲームメーカーだけど、少ないながら家庭用ゲーム機タイトルも出してます。ほとんどがアーケードゲームの移植で、『雷電』&『雷電II』のカップリング移植『雷電プロジェクト』、『戦球』の移植の『めざせ!戦球王』、そして移植版『雷電DX』。

少なくとも自分が在籍していた期間は、これらのタイトルの曲を手掛けてました。雷電プロジェクトはセイブ開発初の家庭用タイトルだったんだけど、家庭用機はパッケージを買うとアンケートはがきが封入されているので、それによってユーザーの声を聞けるという、アーケードにはない経験をしました。

アンケートでは、サウンドについても結構書いてくれるんだけど、当然この手のは肯定的な意見、否定的な意見が半々くらいあって、意見は大体こんな傾向。

肯定派:「音楽、すごいゲームに合っててよかったです!」
否定派:「音楽、演歌みたいで超ダサくて、作者のセンスを疑うわ~」

あくまで当時の心情で書かせてもらうと、

肯定派宛:「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、昭和歌謡みたいでホントすまんね」
否定派宛:「ダサいのは俺のセンスじゃないんだよ……」

以前このコラムで書いたとおり、当時は自分自身も肯定的にはなれなかったので、ほめてもらっても素直に受け入れられなかったし、否定されても当然だわなと思ってたり。

つづいて『めざせ!戦球王』はとくにエピソードはなかったのでパスして、『雷電DX』の話。一番はなんと言っても『バイパーフェイズ1』のBGMを裏技的に聴けるようにしたこと。これを提案したのは俺自身で、なぜこんなことをしようとしたのかと言うと、このコラムを全部読んでくれている人には、もうなんとなく伝わってるんじゃないかと思うんだけど、ひとつは『雷電II』でダサいダサいって言われてきていたこと。もうひとつは、『バイパーフェイズ1』のサントラがでなかったので、それに対する腹いせ(!?)でやりました(笑)。

でも、これは今でも本当にやってよかったと思ってます。バイパーを知っているユーザーの方からは、アンケートで「『バイパーフェイズ1』の曲がまさか聴けるとは思わなかったので買ってよかった!」って意見をたくさんもらうことができたし、『バイパーフェイズ1』を知らなかった方でも、「気がついたら選択できるようになってたので、試しに聴いてみたけど、この音楽すごくいいです!」って肯定的なコメントももらえて、とてもうれしかった。なかには「『バイパーフェイズ1』の曲が選択できると知って購入しました!」みたいな声もあったんですよ。

でも、さらにPS版『雷電DX』オリジナル曲ってのも作らなきゃならなくて、制作自体は何日も徹夜してホント大変でした。オリジナルの方は、もう自分ひとりでは手が回らなかったので、2曲くらい自分で作って、あとは初めて外注に出しました。

3人のフリーランスの人にお願いしたんだけど、初めてだけに外注ってすごくむずかしく、ツボをついたかっこいい曲を作ってくれる人もいれば、打ち合わせで色々説明したのに、なんか全然ちがうものが上がってきたりもしてもどかしかった。なかにはリテイクをお願いしても、「いや、俺はこのゲームに合ってると思っているから」とか言って応じてくれなかったり……。

結局MIDIデータだけもらって、自分で大幅にアレンジし直したりして、かえって負担が増えてしまったケースも。この外注者が手掛けたオリジナル曲で、今でも気に入っているのが、バンドでも何度も演奏している1面の「CONFLICT」という曲。もともとはもっとシンセを多用した曲だったのを、自分でギター主体のアレンジに直しているんだけど、『雷電』の世界観にも合っていて今聴いてもいいよね~。

……とまあ、今回は過去のコラムで語られなかったタイトルをまとめて書いてみました。次回はセイブ開発編最後の『ライデンファイターズ2』です!

(文・佐藤 豪)

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著者プロフィール

佐藤 豪
佐藤 豪サウンドクリエイター
ゲームサウンドクリエイター。気が付いたら24年この仕事やってます。作曲はもちろん、効果音が好きで効果音の研究に取り組んでいます。代表曲は『雷電II』『バイパーフェイズ1』『チョコットランド』など。

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