第3回 明るいスチームパンク

筆者のジムです(・ω・)
今回は「明るいスチームパンク」をテーマにお話をさせていただきましょう。

前回のイメージが暗かったからと言って、なにも明るいスチームパンクがめずらしいわけではありません。どちらかと言うと、宇宙人の侵略、人工知能の発達、徹底的な管理社会、核兵器等の肥大化等、いわゆるSFの方が暗くて怖い未来を描くことが多いように感じます。一方、スチームパンクは山を走る蒸気機関車に海をわたる蒸気船、空を駆ける飛行船と、明るく蒸気機関が発展した楽観的な未来図を描くことも多々あるのです。

そもそも「明るいスチームパンク」が生まれるのは必然であったと筆者は考えています。と言うのも、多くのスチームパンク作品のモチーフとなる産業革命の起きたヴィクトリア朝時代の人々にとって、蒸気機関の発達はとんでもない発明と発見の連続。その時代を生きる人々にとって予想される未来は、画期的な蒸気機関による明るい未来であったことが想像できるからです。また、芸術や音楽の大衆化も、明るい未来を想起させる要因となったように感じられます。

そんな時代をふんだんに取り込んだスチームパンクというジャンルは、昔の人々が夢想した未来、つまり「レトロフューチャー」なのです。そして、この話を聞いてイマジネーションがかき立てられた読者の皆様、今回のお題である「明るいスチームパンクのゲーム」がやりたくなった頃合いでしょう(笑)?

せっかくなので、今回は比較的新しい作品をご紹介したいと思います。2013年にPlayStation 3で、2015年に PlayStation Vitaで発売された『エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~』というゲームです。

この作品は、キャラクターのファッションや、飛行船のデザイン、ぜんまい仕掛けの機械人形等、随所にスチームパンクな要素を感じさせます。くわえて空に浮かぶ未踏の遺跡、モンスター、魔法といったファンタジーの要素もふんだんに含んでいる「スチームパンクファンタジー」なゲームと言えるでしょう。

前作『アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金術士~』の正統続編にあたるこの作品は、『アトリエ』シリーズのなかでも俗に「黄昏シリーズ」と呼ばれている三部作のひとつで、二作目に当たります。

この世界の人々は、いつか訪れる「黄昏の終わり(世界の終わり)」の到来を回避するため、 前時代の技術「錬金術」を再生、研究している。主人公はエスカ(可愛い女の子)と、ロジー(優しい青年)のふたり。

片田舎で伝統的な釜を使った錬金術を学んだエスカと、都市の近代的な錬金術を勉強してきたロジーが、辺境の街の人々のお願いごとを達成するために冒険し、素材を集めてきたり、錬金術でさまざまな物を作ったりと、柔らかい前向きな雰囲気のロールプレイングゲームです。牧歌的で賑やかなBGMも「明るいスチームパンクファンタジー」の世界観を構築するのに一役買っていて、とても良いですね。

この手のゲームといえば「なにかと戦う」ことが多いと思うのですが、そのなかでこの作品はモンスターとの戦闘はありつつも、暗い未来がゆっくりと近づくなか「明るく、前向きなキャラクター達」と「懐かしくも感じる黄昏色の景色」が郷愁を誘う、心温まる作品に仕上がっているように感じます。

結局のところ、心から憎むべき特定の敵がいないということがこの「明るいスチームパンク」を形作っている一番の要因と言えるのかも知れません。これが「巨悪を倒すゲーム」となると「独裁政治の圧政に苦しむ国を救う」とか「出身国が滅ぼされた仇討ち」など理由は多々あれど、どれも明るい作品にはなりにくそうですからね。

ともあれ、『エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~』は戦闘やシステムがわかりやすく、ふだんロールプレイングゲームをそれほどやらない方でも楽しめる作品だと思います。この機会に始められるのも良いかも知れませんよ。

スチームパンクが好きな人がスチームパンクなゲームを見つけるキッカケになったり、スチームパンクを知らない人が「あっ、これってスチームパンクだったんだ」と思って興味を持って楽しんでもらえたならそれだけでこの記事を書いている意味があるというものです。

というわけで、お次もお楽しみに!!

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著者プロフィール

Jim
Jimスチームパンクアーティスト
スチームパンクバンド『Arte Macchina』のボーカリスト。作詞、作曲、物語の原作のほか、ゴーグルや革細工等のスチームパンクアイテムの製作をしています。

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