第5回 最新作に見るスチームパンク
読者のみなさま、明けましておめでとうございます。「蒸気と歯車のゲーム日和」、お届けするのは「Arte Macchina」のジムです(・ω・)
今日は年も明けたとことなので、「最新作に見るスチームパンク」をお届けしたいと思います。
ご紹介したいのは『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』という作品。こちらは2010年4月22日にPlayStation3で発売された『NieR Replicant(ニーア レプリカント)』の続編タイトルとされています。
前作は世界観、ストーリー、キャラクター、音楽、システム、どれを取っても一級品で、筆者がドハマりしていたゲームでもあります。

タイトル画面から彩度の低いデッドフューチャー感が溢れています。
最新作『NieR:Automata』は 2017年2月23日にPlayStation4およびWindowsでの発売が予定されているアクションロールプレイングゲームなのですが、現在は発売に先駆けて体験版がダウンロードできるので、筆者も期待に胸をふくらませて早速プレイしてみました。
細かなストーリーについては伏せておきますが、体験版の内容は「人類の遺した工場廃墟で敵機械生命体による大規模な兵器製造活動が判明、これを調査、破壊する作戦」に参加するというもので、ノーマルでのプレイ時間は30分ほどで、手軽に戦闘やゲームの雰囲気を楽しめるボリュームとなっています。
アクション面では、襲ってくる機械生命体を身の丈ほどもある刀と、もう1本、さらに大きな刀を振り回し、なぎ倒して進む爽快感がたまりません。アクションも前作よりスタイリッシュになり、スピード感が増しています。また、ダメージを食らった際のノイズや画面の揺れ、エフェクトが絶妙な重量感を出していて、スピード感と重量感が共存した素晴らしい戦闘になっています。
戦闘以外でも、ハシゴを上るシーンひとつとってみても前作よりスピーディーかつスタイリッシュ。前作同様に突然横スクロールアクションになってみたり、真上からの見下ろし視点に変わってみたりと、面白いカメラワークや、弾幕シューティングの様に大量に飛んでくる敵の弾など、プレイヤーをさまざまなギミックで楽しませてくれます。

前作同様、目まぐるしくさまざまなアングルに変わる仕掛けも。
こちらが最初のロード画面。この1枚からも見て取れるようにSF色の強い世界観なのですが、もちろんスチームパンクもSFの一翼。廃墟や工場、古めかしいロボットのデザインなど随所にスチームパンクを感じることができるのですが、とくに「良いスチームパンク」に欠かせないのが自然との調和だと筆者は考えています。

工場や廃墟が好きな人ならこの中を探索するだけでもワクワク出来る仕上がりです。
スチームパンクのインスピレーションの源泉が産業革命期のイギリスだとするならば、インダストリアル(工業)とトラディショナル(伝統)とナチュラル(自然)の交差点こそ、スチームパンクの出発点なのです。
そしてそこから時を経て、人の手が入らなくなった工場や家屋を錆びが覆い、蔦が絡み、苔むし、朽ちて、やがては「廃墟」となる。
この侘しさも、スチームパンクの楽しみ方のひとつと言えましょう。
この作品でも、息の詰まるような錆びだらけの工場から、外の開けた場所に出たときに青い空や遠くつづく海が見えたり、そこまで広くないはずの閉鎖的な調査区域が自然を介して外の世界につながっていることを実感できる仕掛けが随所に散りばめられています。

自然の力強さや、それに飲み込まれていく工場の儚さもゲームの雰囲気を盛り上げます。
これまで当コラムにて暗いスチームパンクや明るいスチームパンクなど、色々取り上げさせて頂きましたが、そのどれとも似た、それでいてどこにも属さない美しい侘しさのあるスチームパンクが体感できる『NieR:Automata』は、そんなゲームになっていると確信できたとても良い体験版でした。
体験版から直接予約もできるのも面白い「仕掛け」ですね(笑)。

左上に飛んでいるのが、前作で言うところの「シロ」みたいにサポートしてくれるポッド。可愛いですね。
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著者プロフィール

- スチームパンクアーティスト
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スチームパンクバンド『Arte Macchina』のボーカリスト。作詞、作曲、物語の原作のほか、ゴーグルや革細工等のスチームパンクアイテムの製作をしています。
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