ゲームガンバをご覧の皆さん、ドーモこんにちは! 川中です。

いよいよリリースされた「モンスターハンターワールド:アイスボーン」、皆さんもうプレイされているでしょうか? ネット上には早速攻略記事が上がっていたり、プレイ動画が上がっていたりと、このシリーズ最新作への世間の注目度が伺えます。筆者の周りを見ていても、これをきっかけにPS4とセットでソフトを購入したという人がちらほらいらっしゃいましたよ。

前作にもましてやる気に満ち溢れた受付嬢が君を待っている!(画像は筆者配信画面より)

そして皆さんはこのゲームをどう呼んでいるのでしょうか。単純にアイスボーン? もしくは、モンハンの新しいやつ? あるいはモンスボーン(ねーよ)? ともかく、愛称が定着するのにはしばらく時間がかかりそうな様子ですね。

ひとまず筆者の原稿では「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のことを「アイスボーン」と、前作の「モンスターハンター:ワールド」のことを「ワールド」と呼ぶことにします。

さて、今回の筆者的注目ポイントは、ついに「亜種」モンスターが大々的に登場したことでしょう! モンハンシリーズ恒例の亜種モンスターは、前バージョンの「ワールド」ではリオレウスやリオレイア系統のごく少数が登場するに過ぎませんでした。そのことについて若干の物足りなさを感じたプレイヤーも少なくないはずです(カプコンさんごめんなさい)。

しかし今回、アイスボーンでは満を辞してストーリー序盤から亜種モンスター達が登場。これは筆者ならずとも、小膝を叩いてニッコリ笑わざるを得ません。

あなたを待ち受ける新たなモンスター! おや、なんだか見覚えがあるぞコイツ……

モンハンの世界で亜種というと、たいてい原種モンスターよりも後に登場し、能力の追加や属性の変更などの調整によってより手強くなっているのが相場です。おっとナルガクルガ亜種とギギネブラ亜種の話はそこまでだ(注:双方とも原種より弱いとされる稀有なモンスター)。

「ワールド」では割と攻略しやすかった序盤モンスター「トビカガチ」も、パワーアップした亜種が登場
猛毒と麻痺のダブル属性に加え、多方向の飛び道具、いわゆるウェイ弾を飛ばしてくるという強化っぷり。初見の筆者には荷が重すぎてあえなく敗退……
画面奥ではトビカガチ亜種と別の亜種モンスターが縄張り争い中。それを遠目にして解毒に勤しむ筆者

さてさて、話を本題へ進めましょう。

この「亜種」という括り、現実の生き物ではどういった扱いになっているのでしょうか? 筆者のお仕事上、学生たちに動物世界の亜種について説明することが多いのですが、その時に「モンハンで知ってる!」という反応が返ってくることもあり、世間ではモンハン世界の亜種の方が馴染みが深いのかなとさえ思えてきます。

生き物の世界での「亜種」を説明すると、以下のようになります。

世界には様々な生き物が生息しており、それぞれが環境に応じて進化しています。この、進化して生き残った生き物たちを「種」と呼びます。現在地球上には200万種を超える生き物がいると言われており、それぞれの種がいくつかの小グループで構成されています。この小グループに該当するものが亜種です。これだけではわかりにくいので、次の例で考えてみてください。

日本に「生き物A」という架空の生き物がいるとします。ちなみに、国名や地名は説明の手段ですので他意はありません。ご容赦ください。そもそも生き物にとって国境や国名は人間が勝手に作ったものなので、彼らからすれば「知ったこっちゃない」という話なのですが……閑話休題。

自然界では一種類の生き物が狭いエリア一箇所に固まって生息しているということは少なく、大抵は周囲の大陸や島々、平地から高山まで、広範囲にわたって生息しています。一箇所に固まっていると環境変化の影響で一気に絶滅してしまうリスクが高くなるので、分散できることは種を維持する上で有利に働くのです。

「生き物A」も例に漏れず、日本だけでなく他のエリアにも分布します。例えばお隣の中国や韓国などの別大陸であったり、または同じ日本国内であっても、沖縄や対馬などの離れ小島にも「生き物A」がいたりします。

そうすると、各地の環境(その場所の気候や生態系など)が微妙に異なるため、そこで生き残るためにはそれぞれ独自の進化を遂げねばなりません。その結果、同じ種であっても、大きさや形状、習性などに多様性が生じてきます。

この「別種とは言えないまでも地域によって状態が異なる同種内でのバリエーション」が、生き物の世界での亜種です。

すなわち、本州での「生き物A」が沖縄に適応した結果「生き物Aダッシュ」になり、別のグループが中国で繁栄しているうちに「生き物Aターボ」になり、東南アジアに分布を広げたグループは「スーパー生き物Aエックス」に、そして北海道では「ウルトラ生き物A」が誕生する、という具合です。それぞれに差異はあれどもあくまで「生き物A」である、それこそが「種(生き物A)」の中の「亜種(バージョン違い)」というわけなのです。

ストリートファイターシリーズをモデルに用いた種と亜種との関係を表した図。専門的なことはともかく、種という大グループの中に亜種である小グループが内包されていることがわかるだろう。なお、近年の研究でスト2シリーズには「ウルトラストリートファイター2」という最新作が存在することが判明したため、実際にはスト2は1種6亜種となる

すみません。誰をターゲットにした説明かわからなくなってきたので、話を元に戻します。ストリートファイターの話がわからない方は本当にすみませんでした。しかもモンハンの原稿やんけコレ……編集するFOOすけさんの頭を抱える姿が目に浮かんで消えました(消えたんかい)。

実際の動物で亜種の説明をしやすいものには、オオカミが挙げられます。オオカミの基本種は北半球に広く分布する「タイリクオオカミ」です。タイリクオオカミ自体は亜種ではないものの、他の亜種の基準となるものなので「基亜種」と呼ぶこともあります。ともかく、このタイリクオオカミが各地で進化しているうちにいくつもの亜種が生まれたわけです。おっ、いい顔いただき!

タイリクオオカミの亜種として我々に馴染みが深いのは「ニホンオオカミ」でしょう。島国の生活に適応していくうちに体が小型化したのが特徴です。例外はあるものの、島国の動物は小型化する傾向にあります。かつては北方を除く日本列島に生息していましたが、残念ながら絶滅したと言われています。

余談ですが、本来絶滅「した」と書くべきところを「したと言われている」と書くのは、生き残っていればいいなあというロマンを求めているからなのですが、絶滅の原因は大抵人間なのでそのロマンを求めるのはエゴでもあるよな、なんて考えてしまいます。

他に、中米には「オオカミ王ロボ」のモデルになった「メキシコオオカミ」が生息しています。これもタイリクオオカミの亜種です。

特筆すべきこととして、愛玩動物である犬(イエイヌ)も、その昔人々がタイリクオオカミを飼いならすことによって誕生した亜種であるということがわかっています。諸説はありますが、これ以外にも世界各地にタイリクオオカミの亜種たちが生息しているのです。いかがでしょう、亜種の概念についてわかっていただけたでしょうか。

我が家のぼたんちゃん(7歳♀)も、こんな感じですが昔はオオカミだったという……

さらに、亜種のもう一つの驚くべき特性は、例え姿形は違えども元は同じ種なので、亜種の違いを乗り越えての繁殖が可能である、という点です。動物は犬と猫の子供が取れないように、種が違えば子供が作れません(一部例外あり)。しかし、異なる亜種同士の子供を取ることは、例えばオオカミとイエイヌの合いの子であるウルフドッグのように、現実に可能です。

それでは自然界で困ったことにならないのか? と思う読者の方もいるかもしれません。繁殖において亜種の違いが問題にならないのなら、そこら中で別亜種同士が繁殖してしまい、それぞれの亜種の独自性がなくなってしまうのではないかと。その心配はご無用です。なぜなら、亜種はそれぞれが「隔離された場所」で形成されるからです。

説明の冒頭に、1種の生き物が広範囲に分散して各個進化したものが亜種である、と書きました。つまりそれは地理的に隔離された環境で進化した結果なので、距離的に離れていたり、山や海などで分断されていたりして、自然下では異なった亜種がお互いに接することがありません。よって、自然下では異なる亜種同士は出会えないため繁殖できないことになります。この状態を「生殖隔離されている」と呼んだりもします。

逆に言うと人為的には亜種同士の交配は可能です。別々の場所にいる生き物を捕らえてくる、という意味です。そうやって生まれた亜種同士の合いの子は、本来自然界にはいない遺伝子構成を持った生き物なので、自然に戻すことができません。また、一度混ざった遺伝情報を再び分離することはできないので、その個体が死なない限りは自然界にない遺伝情報が存在し続け、もし繁殖すると次の世代に受け継がれてしまうことになります。これは一見些細なことのように見えますが、生き物の存続という側面から考えると、大きな弊害になりうるのです。

少し話が逸れましたが今回の話をまとめましょう。生き物の世界での「亜種」とは、
①元々は同じ種の生き物たちである
②それぞれ別々の地域に生息している
③亜種が違えば姿形や習性が変わる
④本来は交わらないが繁殖は可能

ということになります。同じエリアに原種と亜種が登場するのは流石にゲーム独自の設定と言えますが、それ以外の部分はかなり自然界に忠実に作り込まれていますね。

ここまで知っていただくと、次は種や亜種だけでなく「属」や「科」などの違いにも興味が湧いてくるはずです(湧いてきましたよね?)。次回はそれについて取り上げようと思いますので、お楽しみに!

とか言いながらまだ序盤の2時間くらいで止まってます。まだ先は長いぜ

【お知らせ】
私も「アイスボーン」の配信を始めました。不定期ですが以下のチャンネルで配信していますので、是非ともご視聴、チャンネル登録のほどをよろしくお願いします!

アラおじGAMES

※生き物の世界には諸説ある点と、文章の内容には独自解釈が含まれることとをご了承ください。

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著者プロフィール

川中 豪(たけし)
川中 豪(たけし)オフィスティーズガーデン主催
生き物とゲームを愛する電脳ナチュラリスト。動物では特に爬虫類や古生物が好きです。最近は「ウルトラストリートファイター2」にもハマっており、ブランカでプレイしています。