ご無沙汰しております。風来の企画屋でございます。久しぶりの登場で少しばかり緊張しておりますが、今回からは企画屋だけの話ではなく、他職種のかたともゲーム作りについて語っていきたいと思います。最初にご登場いただくのは、ゲーム作りの要(かなめ)ともいえる【プログラマー】さんです。私の知り合いで業界歴も非常に長く優秀なA氏とB氏のお二方に、ゲーム作りの苦労やら裏話などを聞かせていただきます。
【人物紹介】
A氏……ゲームプログラム歴30年オーバーの超ベテラン。作ったゲーム数知れず。遊んだゲーム数知れず。売れたゲーム……聞かないで。
B氏……シューティングゲーム好きが高じてゲーム業界に入ってしまった。今は後悔していないとの事ですが、入った当初はあまりの激務と薄給に愕然としたとかしないとか。
風来の企画屋……筆者。A氏に頭が上がらず、B氏にはアゴでこき使われる企画屋。ゲー歴26年のそこそこキャリアがあるにも関わらずプログラマーは怖いので逆らわないようにしている。
プログラマーとは?
風来の企画屋(以下、企):本日はよろしくお願いいたします。
プログラマーA氏(以下、A氏):よろしくです。
プログラマーB氏(以下、B氏):ほいほい。
企:簡単にゲーム作りにおけるプログラマーさんの役割を教えてもらえますか。
A氏:デザイナーさんや音屋さんが作ったデータを、正しい場所で正しく動かすのが仕事ですね。たまに間違った場所で変な動きをしたりするのはプログラマーのせい。
企:アハハ! バグというヤツですね。
B氏:そうそう。んで、そのバグを取りつづけるのも仕事。
企:ゲーム完成間際のバグ取り作業、いわゆるデバッグではほとんどプログラマーさんに仕事が集中しますもんね。
B氏:絵を差し替えたらおかしくなったとか、音を新しいのに変えたら止まった……とかいうこと以外、たいていプログラムのミスだったりするからね(苦笑)。
A氏:想定していない数値を企画屋がデータテーブルに設定して「動かなくなりました!」とかって言われることもあるけど。「そりゃ動くわけねぇだろ!」と。
企:あ……それはすみません(苦笑)。
苦労することは?
企:プログラマーとして苦労すること、大変なことって何でしょう?
A氏:俺からでいい?
B氏:どうぞどうぞ。たぶんおなじこと言うと思いますので(笑)。
A氏:たぶんね(笑)。ゲームの完成形が見えてない人の指示とかは困りますね。
B氏:あるねぇ~! それ、ほんと困る!
A氏:ゲームって最終的にどういう楽しませかたをするのか、どこを楽しんでもらいたいのかが明確になっていないと完成しない。その完成形のイメージがない人だと「とりあえず、こうしておいて」とか「今はこれで」とかっていう適当な指示が出てくるんだよね。そういった指示で作るとソース(プログラムのこと)が汚くなる。汚くなるとバグが出やすくなったり、変更や修正が大変になる。んで、完成が遅れる。
B氏:で、完成が遅れるとプログラマーのせいにされる……と。
A氏:それがイヤ、というか大変。
B氏:言い直したよ(笑)。当たり前だけどプログラマーはバグ出すのきらいだし、出たバグをさっさと直せないのもきらい。だから適当な指示とか場当たり的な指示を出すヤツは……。
A氏&B氏:嫌い(笑)!
企:アハハ。たしかにプログラマーさんからよく言われるのが「仕様的に問題なければいいよ」という台詞です。
B氏:俺らは企画が決めてきた仕様にそってプログラムを組むんで、それが間違ってなければ基本的にはOK。極端に言えばそれで完成。仕事としては、ね。
A氏:その通りだね。でも、それだと人を楽しませるゲームじゃなくてビジネスソフトになっちゃうから、ある程度の調整ができるような作りにしておくんだよね。こうしたら面白くなるんじゃないかとか考えながら。なんせ作っているのはゲームだから。
B氏:そうそう、ゲームだから色々と調整できるようにあらかじめ用意しておかないといけないんだけど、明確な目的地とか終着点がないとそれが用意できない。
企:確かにプログラマーさんは企画屋がいろいろと調整できるようにさまざまなツールやデータを用意してくれますもんね。
A氏:基本、プログラマーは面倒くさがりだから、ここの数値を変えたいとかもう少し早く動かしてとか言われて調整するの面倒。だったら企画が自分の席で調整できるようにしてやろうと考えてそういう環境を作る。んで、それを使ってくれれば好きに調整できるイコール俺らが楽になるし、調整の責任は企画屋に移る(笑)。
企:確かに(笑)。
B氏:あと、最近は物量が増えすぎて、それの制御が大変。
企:ファミコンとかメガドライブは2Dがメインでしたけど、プレイステーション以降は3Dですし、使える容量や技術も一気に上がりました。
B氏:そうそう。絵に使える容量もものすごい増えたし、それに合わせてゲーム自体のボリュームも増えたから1ステージができあがるのに平気で数か月かかったりする。
企:2Dだったら数パターンの絵を差し替えて「移動」ができあがったのに、3Dだとキャラクターモデルを作ったあとにモーションを作る、そのふたつができあがってきてからプログラマーが「移動」を制御をするという流れですもんね。
A氏:2Dの絵だったらTV画面に出して終わりだけど、3Dだとそこからカメラの制御やらライティングやらシェーダー用意したりしなけりゃならないし、大変よ(笑)。あと……仕様が遅い!
B氏:仕様がこない!
企:うわっと! それはスミマセン(苦笑)!
少々長くなりましたので、このつづきは後編にて。次回もどうぞよろしくお願いします。
(つづく)
著者プロフィール
- ゲームプランナー
- 中古ファミコン屋店長からスタートし、プログラマーを経てゲーム企画屋に。ディレクターも頼まれればやるし、プロデューサー経験もあるが「やっぱり企画が面白い!」と企画に固執いているオッサン。来年発売のダライアスをPS4版でやろうかVita版でやろうか悩み中。
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