対戦格闘ゲームの一大ムーブメントを築いた珠玉の名作『ストリートファイターII』(以下、『ストII』)。このコーナーでは、第一作目の発売から20年以上を経過した今も色あせることのない『ストII』の歴史を、さまざまな「ストIIプレイヤー」たちの視点から語ってもらう。

第2回には「世界の永田」として名高いYOKOZUNA、S・本田の使い手である永田正月氏をゲストにお迎えした。当インタビューは、前・中・後編に分かれており、今回はその後編となる。今なお現役の第一線を張る氏の歴史をその目で確認していただきたい。

なお、インタビュー中編はこちら

『ストIIダッシュ』登場! YSBはダルシムを放棄……?

中編からのつづきとなります。

正月(以下、正):大会後、しばらくしたら『ダッシュ』が出てきて、実際やってみたら「あのゲームやべぇぞ」って話になって。とにかくブッ壊れてるんだ、っていう。

FOOすけ(以下、「F」):俺も、とりあえず新キャラ触ってみるかっていうんでベガ使ってみたんだけど、あきらかにおかしかった。サイコクラッシャーから投げまでがワンセットで入るぐらいにサイコ投げがキマる(笑)。

:俺なんかも、地元のガキがベガを使ってサイコから投げだけ、っていうパターンをやってるだけなのに、何もできないんだけど……ってのがあった(笑)。

F:ちょっとやってみてそんな感じだから、あれ、明らかに調整してないんじゃないのという話になったね(笑)。とにかくベガが強い、っていうのはすぐわかった。

:最初、『ストII』をやっていた連中が『ダッシュ』をいろいろと触ってみるんだけど、どこの誰に聞いてもみんな口をそろえて「『ダッシュ』はやべぇ」だった(笑)。ベガもそうだけど、サガットだって強いし、なんだかんだでバルログだって十分やばい。そういうのを見てブーブー文句を言っているガイル使いもいたけど、お前のキャラだって十分強いぞと(笑)。

F:強かったよね(笑)。

:で、ヨガ・ストライクバッカーズが誰もダルシムを使わなくなって……。

F:あれ? そうだったっけ。ん? そうすると俺は何を使っていたんだ?

:ベガとか。リュウケンなんかもやってませんでしたか?

F:確かにベガが強いなっていうのはあって、最初は多少使っていたけど……やっぱりダルシムに戻ったような……? あんまり固定していなかったかもしれない。

:春麗は本当に弱くなったかなっていう感じでしたね。で、ダルシム使いがいなくなったんで、「じゃあ俺がダルシム使おうかな」って、ひとりで適当に遊んでたりしてたんですよ。

F:んんー? でも俺、『ダッシュ』の大会初期に、ケンのジャンプ強パンチの跳び込みに対して弱チョップ対空を出すクセがどうしても抜けなくて、それで普通に負けてたみたいな記憶があるなぁ。

:リュウケンのジャンプに関しては、俺は強スライディングで対空して、そのあと近距離立ち強キックを重ねたりとかって連係をやってましたね。立ち強キックを出したあとは、間合いが近すぎて何もすることがなかったんで、オマケ的な意味でバックジャンプ強パンチとか出してて。

F:おお、世に言う「永田正月あけましておめでとうスペシャル」ですね!

:最初は「こんなバカな連係食らうやついねーだろ」とか思いながらやってたんですが、実はこれが連続技になっていて、そのときイダゴローが「これはすごい! 永田さんの名前で技を作らせていただきます!」みたいな感じの展開になって(笑)。

F:そんな話もありましたね(笑)。……んーでもやっぱり、俺はダルシムはやっていたと思いますよ(記憶が薄れているなりに食い下がるFOOすけ)! 最初は確かに四天王、とくにベガを使っていたのはあったけど、『ダッシュ』が出た当初なんかは、とりあえず四天王は触るじゃない? それで一周回ってまたダルシムに戻るっていう感じで。

:ええ……(必死さに引き気味)。

F:それに、ダルシムの同キャラ戦もできるようになったってことで、そこでハマさんが「ダンナ、とうとうこのときが来ましたね。ここからは下克上の世界ですよ、ふふふ……」みたいなことを言ってた話も覚えてるし……。

:あー、ダルダル戦では谷島スペシャルとかやってましたね。

F:そうそう。谷島スペシャル、谷島スペシャルMk-II……ほかにもいろいろあって。ダルダル戦は面白かったな~。

:まあ、結局なんだかんだで夏ごろにはヨガ・ストライクバッカーズが本を出しているぐらいだから、すぐ戻っていったっていうことですかね。とは言え、『ダッシュ』になってからは、俺もずーっと本田は使ってませんでしたけどね。

F:なんと!

:「このキャラマジでつまんねー」ってなって。まず、投げ間合いが変化してハメるのが簡単すぎるようになったこと。『ストII』のときはハメとかもドンピシャでやらなくちゃならなかったのに、『ダッシュ』ではそんなに厳密にやらなくても投げられるようになって、これじゃ投げに弱いキャラに対する弱いものいじめだろうと。

F:なるほど。

:で、頭突きとかも強いんだか弱いんだかわからないような技になっていて。実際には弱いんですけど。ってやっていると、なんかつまらないなと。お手軽プレイで遊んでいる使い手が多くなって、でもその割にはどうも勝ち切れないようなキャラになったという感じで……。で、のすけが「ガイル弱くなったんですよー!」ってブーブー文句言ってるから、じゃあガイル使うか~とか、あとはダルシム、ケン、ブランカなんかも使って……ブランカはなんかちょっと強くなりすぎてイヤになりましたけど。噛み付き→電撃を繰り返すとか。

F:カウンターダメージもなくなっちゃったしね。

:ええ。ガード不能ブッシュバスターとかで遊んでいた人間としては、これちょっと強くなりすぎじゃないのって感じでした。そのくせ、やっぱりダメなところは相変わらずダメでイマイチだったし。

大学受験をあきらめた

:当時はもう大学受験はあきらめていて、蒲田の専門学校に通い始めて……もう典型的なダメパターンですよね。

F:いわゆる『ストII』に人生を狂わされたってやつですね。のめり込み過ぎたあまり、大学受験に失敗したと。

:いや、これからは情報処理の時代だと。……と、自分に言い聞かせる感じで(笑)。

F:あら(笑)。

:で、蒲田の話なんですが、そこでは嫌われ者になってましたね。蒲田のゲーセンでやっていると、「またアイツ来やがったよ」「いろいろなキャラを使ってムカつくことしかしねーヤツだ」とか言われてたんですよ。

F:えー。

:ブラン子ちゃんっていうのが店員やっていて、「永田くんいつも嫌われてるよね」みたいな感じで言われてましたね。「いや俺そんな悪いことした覚えないんですけど……」って思いましたけど(笑)。

後編用イラスト(イラスト・花八)

F:そんなこともあったんだ。

:で、そのあと『ダッシュ』の歴史に太刀川マサオが出てくるわけですよ。「『ストII』時代に俺のことボコボコにしたじゃないですか」って、俺のことを恨み帳でもつけてるのかってぐらいに恨んでいる(笑)。そのころヤツはもうかなり強くて、だいぶ天狗になっていましたね。

F:そうだったのか(笑)。

:で、ゲーメストの『ダッシュ』の全国大会が開かれることになったんですけど、俺は全然興味がなくて。でも、イダゴローやハマさんが出場権獲得したときには、「ぜってーマサオだけは優勝させんなよ!」って言いましたね(笑)。

F:『ストII』時代だけじゃなくて、『ダッシュ』時代にもボコってた?

:いや、それはないですね。『ストII』のときに相当ボコボコにしていた「らしい」というだけで。俺は全然覚えていないんですけど(笑)。

F:で『ダッシュ』でマサオが開花したということか。

:そうですねぇ。まぁ~ヤツは全キャラを器用に使ってましたね。で、結局ゲーメスト杯でハマさんを倒して優勝してしまったと。そうなったらもう認めざるを得ないですよね。

F:なるほどね。でもマサオってそんなに天狗って感じだったんだっけ。

:優勝前は超天狗でしたよ(笑)。でも、優勝後はなぜか逆に謙虚になっていった。

F:優勝当時はもう誰もマサオに勝てないだろうなっていうイメージがあったよね。

:ありましたね……。まあでも、日本一になったんだったら認めてやるしかないか、と。

F:そうだねー。あの全キャラ使って戦うっていうシステムで勝ったわけだしね。

:ともあれ、なんだかんだであの全国大会って、校長、20号、ばたやんさん(※)と、初期からやっていた連中がベストエイトにきっちり残ってましたね。ジェネティーは野試合台で最大連勝だったし。
※ばたやん……関西屈指のガイル使いにして、関西プレイヤーのレジェンド勢。

そういえばポニーとジェネティーの話がまだでした

:田村(ポニー田村)(※)は、飯田橋あたりのタイトーのゲーセンで大会やっていたときに、ブレザー着た学生がザンギを使って結構勝っていて、それで気になって話しかけたんですよね。自分もザンギを使っていたということもあって「ザンギってキツくねぇ?」みたいなことを言ったら「しょうがないじゃないですか(冷)」って。ブレザー着た学生がですよ(笑)。
※ポニー田村……伝説のザンギエフ使い。自らポニーを名乗るほどのポニーテール好きというウワサがまことしやかに流れている。

F:その頃からそんなキャラだったんだ(笑)。あれ? でもポニ村さんそんな年下だったっけ。

:俺の1個下ですね。俺が予備校生やってた頃に学生だった。「だってしょうがないじゃないですか(冷)」って言ってましたね(笑)。「本田とかキツいでしょう?」って言ったときも「しょうがないですよね(冷)」って、なんでその歳で達観してんだよと(笑)。

F:でもそのくせ本当はアツいんだよね(笑)。

:そうそう(笑)。で、ジェネティー(※)は、「タロー」に通っていたときに「ジェネティーってヤツがいるんだよ、春麗がメチャメチャ強いんだ」って言われて、実際強かったんだけど、まあ捕まえてはよくハメ殺してましたね(笑)。未だにハメ殺すけど(笑)。
※ジェネティー……伝説の春麗使い。気功拳を撃たずに戦うことで有名。

F:ひでえ(笑)。

:で、そこらへんの「タロー」の常連というのが、『ダッシュ』が出たあとに「ビッキーズ」っていうゲーセンができたんで、そっちにみんな移ったんですよ。「タロー」の常連と、秋葉原の「ナポリ」の常連だったかな。その「ナポリ」の常連のひとりが「ビッキーズ」の店長だったかと。

F:そうなんだね。俺、「ビッキーズ」には1回ぐらいしか行ったことないかも。

:その当時に「ビッキーズ」の店内で「連勝張り紙」みたいなのをやっていて、20連勝以上すると「◯◯さん◯連勝」みたいな感じで貼りだされるんですよ。そこがほとんどジェイケイくん(※)と、マサオの名前だらけ。どれも「リュウで70連勝」とか「バルログで70連勝」とかなっていて。
※ジェイケイ……アルカディアライター。太刀川を上回るというウワサもあったほどの天才的センスの持ち主。

F:そりゃすごいな(笑)。

:その様子は例のウメハラ漫画にもそれっぽい描写が出てるんですけど、あの漫画ではなぜか『X』当時の出来事になってるんですよ(笑)。まあ実際には『ダッシュ』当時にそういうものがあったんですが、連勝の数字に関して言えば、そもそも誰を相手にして勝ったか、っていう話じゃないですか。キャラ差なんかもあるし。

F:そこは重要だね。

:とは言え、その張り紙がみんなのモチベーションになっていることもまた事実だったんですね。で、そのなかでも本田ではまだ20連勝した人間がいなくて、「あれ? 本田って誰も使ってないんだ」って思って、たまたま遊びでやった本田が20連勝して貼り出されたと。これが『ダッシュ』で本格的に本田を使い始めたきっかけですね。

F:なるほど……?

:『ダッシュ』になってからいろいろな人がいろいろなキャラを使いまくって、そのときに本田が強いと思って使っていた人たちは、最終的にみんなやめてしまっていたわけですよ。「じゃあ使うしかねーじゃん!」となって。

F:重要なターニングポイントだわこれ(笑)。

:ちなみに、それ以外ではジェイケイくんとマサオの名前がズラズラと並んでいて、こいつらのための張り紙システムだなーって感じでしたね(笑)。

F:ジェイケイくんとは直接対戦した記憶があんまりないんだけど、そこまですごい人だったんだ。

:やり込むタイプの人間ではなかった感じですね。天才肌の人間ってそういうところあるじゃないですか。何でもサクっとできるようになって、ああもういいや、みたいな感じでやらなくなっちゃう。最後までアツくなってやるようなタイプではなかったです。

F:そうだったんだ。

:とにかく、ほとんどあのふたりでしたね。それがウメハラ漫画では全部「飾太刀(=太刀川マサオ)」なんですけど。実際には、あのふたり。たまに、ザンギのところだけ「サイクロン」とか「ポニー」とかなってましたけど(笑)。でも、そこにもマサオの名前が入ることもあったりとか。とにかく20連勝以上すれば張り出されるシステムですからね。当時は、全キャラがジェイケイくんとマサオで埋まるんじゃないのっていうぐらいの勢いでした。

F:その光景、見てみたかったな! 店自体に足を運んでなかったのが悔やまれる……。

:でも、さすがのヤツらでも本田を使って連勝することまではできなかったみたいで、じゃあやらせてもらおうか、と。

F:ここからはずっと本田メイン?

:そうでもないですね。『ターボ』のときはベガとかやってたし。

F:弱体化したキャラが好きってことか(笑)。

:『ターボ』の本田の場合は、スーパー百貫落としを「この技ツエー!」って使っていたけど、やがてあの技は実は使えないんだってことに気づくじゃないですか。上りで当てても反撃確定とか。分かり始めちゃうと、結局、このキャラいいやってことでみんなやらなくなっちゃう。そのあとに「じゃあやるか」っていう繰り返しですね。でも、『スーパー』の本田は最初からやっていました。あの調整は気に入っていたから。

F:なるほど。

:それ以外にも、スーパーのときはホークとかベガとか、いろいろ使ってましたけどね。で、『X』では本田がお手軽に強くなりすぎたのがイヤで、S本田に行ったと。

F:そういうことか。

:だって、結局勝てないキャラは一緒なんだもん。でも、やっぱり、当時の自分自身は攻略の精度もそこまで高くないし、相手のやりたい行動を刈り取って云々っていうのはずっと後の方の話ですね。同じゲームをつづけてきたからなんだかわかるようになってきた、みたいな。

F:だいたいこのあたりまでが、永田正月が本田に落ち着くまでの歴史っていうところか。

真の覚醒は『ハイパー』後!? 「世界の正月」その意外な誕生秘話

:結局『ダッシュ』でマサオが優勝して、ハマさんが準優勝して、その他上位陣も知り合いがほとんど埋め尽くしている状況になったじゃないですか。別に自分が優勝したわけじゃないけど、こうなると「もう俺ら最強じゃね?」みたいな感じになって。

F:まぁそういう空気はあったよね。

:さらに、『ターボ』、『スーパー』は大会がなかったけど、『X』でダンナが優勝したし……そうなるともうモチベーションなんかつづかないっすよ。じゃあ『バーチャ』でもやろうかな、とかそういう気分にもなってくる。地元とか、ほかの場所でも、大会があればそれには参加して楽しんでやっていましたけどね。でも、もうこのゲームはここで終わりだろう、っていう気分にはなっちゃいましたね。

F:そうだね。結局、公式の全国大会が全部身内の優勝っていう形になれば、それも無理もない話かも。

:自分自身、一般的な感覚で「本田を使ってガイルには勝てないだろ」っていう考えでキャラかぶせをしてくるような相手ぐらいだったら倒せるぐらいにはなったし、このゲームはもうこれでいいだろう、みたいな風に思っていたら、大阪の連中が1年も2年も遅れてやり込んでいるっていう情報が流れてきたりとか。

F:あれは正直すごかったな。

:あとはジャイアン(※)とかまっつん(※)とかの、ニュージェネレーションというか、そのあたりのプレイヤーの登場とかね。
※ジャイアン……『X』後期に最強の名をほしいままにしていた関東屈指のダルシム使い。
※まっつん……世界にもその強さを魅せつけた、現役でトップクラスを張る関東Xケンの第一人者。

F:ありましたね。しかし、ここまで歴史を語ってもらって、永田正月という人がレジェンドになり始めたそのきっかけみたいな部分ってどこだったのかな。

:アナタガマイクデアオルカラ。

F:いやいや(笑)。そうは言っても、本田を使って勝ち切るっていう地力はついているわけだから。本田で勝つ人がいるから大会も盛り上がるみたいな。

:でもそれって、ダンナが優勝した頃とか、そのあと巣鴨で大会やっていたあたりでも、まだそんなことはなかったんですよ。そこまで強くはなかった。自分自身で「前なんかよりも全然強くなったし攻略のレベルも上がった」っていう実感が出てきたのは、実は『ハイパー』が出たあとなんです。

F:とは言え、その前でも、本田使いというカテゴリのなかではずっとダントツだったでしょう。技術も知識量も。

:最初はおけやんの四谷さんとか、地元の秋場さんとかが見つけたネタを拾い集めて、それを自分なりにアレンジして終了、っていう感じでしたね。『ダッシュ』のときなんかは、実質、バイソンがメインキャラだったりとかしてたし。

F:バイソンがメイン!?

:まぁ、何でもやりました(笑)。「大会やるぞ! 永田、ベガ使え!」って言われれば「わかりました。ダブルニーハメ練習しときます」っていう具合で(笑)。

F:なるほど。真に「世界の永田正月」と化したのは『ハイパー』以降ということなんだ。

:そもそも「リュウとかケンに勝てるわけねぇよこのキャラ」っていう部分があってずっとあきらめていて、「まぁツイてりゃ勝てるんじゃね?」ぐらいの気持ちだったんですよ。それが『ハイパー』が出てN本田が使えるようになって「そういや昔はこんな感じで目の前で弱パンチ出して、それで倒したりしていたよな」ってやってるうちに、「あれ、待てよ? しゃがみ弱パンチはやられ判定あるけど、立ち弱パンチにはついてないよな?」って気づいて。

F:むむ。

:で、ある日24時間営業の「レジャーランド」で、まっつんとお遊びで対戦していたら、ヤツが使うほとんどのケンを片っ端からN本田でツブしていって。最後、ヤツがXケンを使ったときにようやく負けたんだけど、「この戦い方、超強くねぇ(笑)?」みたいになって。

F:それはすごい話だ(笑)。

:で、この弱パンチをベースにして戦いはじめるとか、あとは、飛び道具を踏まないようにする戦い方とか、垂直ジャンプで避けるのは弱に対してだけに限定すれば十分とか。あとは強波動拳を出した瞬間に飛べば、しゃがみ強キック対空を喰らわない……とか、いろいろと模索しはじめると、実はこのキャラ結構勝てるんじゃないのって。

F:それが『ハイパー』以後であると。

:完璧な飛び道具ありのキャラ対が完成したのは『ハイパー』以後ですね。それまでは、何となく昔使っていたから遊んでいただけ、っていう。

F:じゃあ、俺の実況のアオリが先行していて、名実ともに強くなったのがそのあとという感じなんだ。

:実際には、ハメ連係とかはに~あ~が使っていたネタばかりだし。

F:そうなんだ?

:あいつはネタ作るのが超うまいから。「これS本田でもデキルヨ」って感じでいつも適当な口調で言うけど(笑)。「ガイルはヒザでつかんだら画面端まではオッケーだよ」とかで、やってみて確認したり。ネタさえ聞けばあとは自分でアレンジして、このキャラにはこう、このキャラならこう、って調べられるし。ダルシムとベガは完全にハメ殺せる方法なんかも見つかりましたね。

F:おおー。

:ネットでフレーム表みたいな情報なんかが出始めたあとは、今まであったネタにプラスして自分で色々とネタを見つけて、相当高度なことができるようになってきたと。

F:なるほど。これが世界の永田正月誕生の経緯というわけか。

:世界化してないから。アンタが勝手に言ってるだけ(笑)。

F:いやいや。まぁ、アオっているという部分も確かにあるんだよ。「永田正月」というキャラクターが、すごくいじりやすいというのもある。実況で困ったら、とりあえず「永田正月」って言っておけば、まず周りがウケてくれる、っていうのがあるじゃない(笑)。それも、永田さんがキャラクターとして立っていたからだよ。

:そういうものですか。

F:また、「永田正月の本田」っていうのがいいじゃない。「正月・本田」っていかにも和風な組み合わせが。「正月・ガイル」だとちょっと何かがちがうけど、「正月」で「本田」ってくると、いかにもこの人は本田やるための人なんだね、みたいなイメージがわく(笑)。

:意味ワカンネ(笑)。

F:いやいや、そういうもんだって(笑)。「正月本田」ってしっくりくるもん。実況とかでもすごく使いやすい。「永田正月の本田」が出てくれば会場もわくし。そういう点でもスター性っていうのはあったね。さらに言えば、近年ではS本田を使っている人っていうだけでもレアだし。

:もともと、『X』の時点で俺はすぐS本田使ってましたけどね。ヨガ・ストライクバッカーズの本を作るっていうんでX本田を使っただけで、実際にはS本田でしたし。さっきも言ったけど、X本田で勝てなければS本田でも勝てないんですよ。だったら自分の使いやすいほうで遊びます、っていう話ですね。

F:そういうことか。

ネタの研究と実践の繰り返しが伝説を作る!

F:X本田はそんなにだめでしたか。

:やっていてなかなかに苦痛でしたね。何年か前の闘劇でくすモンド(※)が「ボクもS本田使うんで、永田さんもX本田使って攻略に協力してくださいよ」って言われて「じゃあX本田使うわ」って結構マジメにやったんだけど……横綱(くすモンド)がS本田を使っているのはまだ見たことがないですね(微悲笑)。
※くすモンド……世界にその名を知られる関西本田使いの筆頭。西の横綱。

F:なるほど(笑)。

:それでも色々ネタを見つけたんですよ? 百貫と大銀杏の同時入力とか。相手を画面端に追い込んでレバーを斜め下まで入れて、しゃがみ弱Pを重ね、その硬直が解けるときにレバー後ろ斜め上と中Kと中Pを同時押しすると、相手が昇竜拳やサマーを出している場合は百貫が出て、出していない場合は大銀杏がキマるっていう。

F:うおおー。それって実戦投入されてるの?

:されてます。離し大銀杏じゃなくて、同時入力大銀杏っていう。あとは、起き上がりを直接、大銀杏で投げるとか。

F:あるある! いわゆるゼロフレ投げみたいなやつね。あれって意図的にできるの?

:そこまではわかってないんですが、たまになる。で、その技に合わせてしゃがみ弱キック百裂も一緒に入力しておけば、ガードされていた場合でもそっちが出るから大丈夫だし、投げられるときには大銀杏投げが出ると。

F:そういうのあるんだ。

:とかね。色々ネタは探したんだけどね……(悲)。

F:まぁ……そういう時代があったっていうことね(笑)。

:で、さらにそのX本田で開発した技をS本田に投入したり。過去に色々なキャラを使っていたときのネタなんかも引っ張ってきて、例えば本田のつかみからの連係をホークでも同じようなことができないかとやってみたりとか。ひとつエポックメイキング的なネタがあったらほかのキャラでも使ってみようっていうこともやりましたね。

F:なるほど。

:かつてGOTくんがアッパー昇竜拳をやったのを見たことをきっかけに「じゃあ足払い波動とかはどうなの?」とか「連続技にはならないけどペースをつかむのにはいいんじゃない?」とか、それがスタンダード化していくみたいな感じで。ガイルでアッパーソニック裏拳ができるとわかったときには「このキャラ、マジでシャレになんねーぞ」とか(笑)。

F:最大ダメージでピヨリからピヨリだもんね(笑)。

:しかも最後まで入らないことも多いっていう。その前に倒しちゃうから(笑)。

F:ここまでの流れで、ようやく歴史が今の永田正月まで来たっていう感じですね。

:『ターボ』以降が惰性でつづいていたっていうのと、そのあとは仕事、仕事、仕事……とやっていたら、未だにムキになってやってる『ストII』バカがいるっていうから、それに付き合ってこっちもムキになっていたら、気づけば結構いいトシになっちゃいましたね、みたいな。

F:そうですね(笑)。本日はどうもありがとうございました!

:ありがとうございました(笑)。

(聞き手・FOOすけ)

【イラストレーター紹介】

花八  ブシモ様の『しろくろジョーカー』武将イラストを一部担当させていただいております。その他、BLカードゲームのスチルイラストも担当させていただいたりもしております。詳しくはブログでご確認くださいませ! お仕事募集中です。

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著者プロフィール

FOOすけ
7つのペンネームを使い分け(本当は3つくらい)、さまざまな媒体で執筆活動を行なっている覆面ライター。でも隠しているわけでもないので、聞かれればお答えします、とは本人の弁。