風来の企画屋でございます。今回は前回のプログラマーさんとの座談会のつづきでございます。
【人物紹介】
A氏……パソコンがまだ256色しか使えなかった頃からプログラムを組んでいたというおぢさま。ファミコン、PCエンジン、メガドライブと古い家庭用ゲームから最新のPS4まで経験しているというすごいお方。エラすぎて私は頭が上がりません。
B氏……もとは業務用ソフト開発のプログラマーだったが、ゲームセンターで遊んだゲームがあまりにも面白かったため、自分でも作りたくなってゲーム業界に転職。某有名RPGのメインプログラマーをやってみたり、学校の講師をやってみたりと多方面で活躍中。
風来の企画屋……筆者。A氏に頭が上がらず、B氏にはアゴでこき使われる企画屋。ゲー歴26年のそこそこキャリアがあるにも関わらずプログラマーは怖いので逆らわないようにしている。
企画屋との関係は?
企:プログラマーさんについて色々とお聞きしていますが……。
A氏:仕様が遅い!
企:あの、いきなりすか(笑)?
A氏:パートごとのこまかい仕様はいいから、まずは何が必要なのかが知りたい。
企:無視して進められてる……(苦笑)。
A氏:セーブ・ロードはあるのか、キーコンフィグはあるのか、エンディングというモノが存在するのか、ゲーム難易度は変えられるようにしたいのか……とか、ザックリでいいからそういったモノが欲しいんだけど来ない。
企:確かにこのあたりもプログラマーさんからはよく言われますね。セーブとかロードって必要だと分かるのになぜ決められないのか。仮に自動セーブにするにしてもゲームの進行を保存するのは今どき当たり前……なのにそういったことすら2~3人の企画屋がガン首そろえてんのに決まらないことがありますね。
A氏:※ピーだよね(ため息)。
企:そんなハッキリとは言いませんよ(笑)。ステージ数はゲームボリュームにからむからそんなすぐ決められない、ってのはわかるんです。それでも「最低5ステージは必要」とかというのは感覚的にわかると思うんですが……。
A氏&B氏:※ピーだから決められない(爆笑)。
企:イヤイヤ(苦笑)。「5ステージはありますが、あとで調整して増える可能性があります!」って言えばいいだけだと思うんですが、それが言えない。日本人的な気質なんですかね?
B氏:かもしれない。少なくとも自分がディレクターとか企画チーフぐらいの立場で物事の決定権を持ってないかぎり、あんまりハッキリ決めることをしないよね。
A氏:そのあたりがプログラマーとしてはちょっと、ね。
企:ほかには?
B氏:仕様が遅くなるのはしょうがないのはある程度分かるんだが、アレだけは止めて欲しい。
企:アレと言いますと?
B氏:仕様書のなかの「かも?」とか「どうでしょう?」という疑問形。
A氏:あ~、分かる。
企:私も分かります(笑)。
B氏:あれ、イラつくんだよねぇ。「ここでアイテムを落としたら面白いかも?」とか書かれてもプログラマーとしてはどうしていいか分からない(笑)。
A氏:アイテム落とすように作っていいの? それとも作っちゃダメなの(笑)?
企:企画屋としては、そういった仕様書については「ゴメンナサイ」と言うしかないですね。
B氏:仕様書はゲーム作りの設計図なんで、確定していることだけを書いて欲しい。もし決まってない項目であれば「ここでアイテムを落とす仕様も検討中」と書いて欲しい。んでもって、決まったら仕様修正して教えてくれればそれに即して作るから。
企:ほんと、おっしゃられるとおりですし、仕様さえ決めてくれればそのとおりに作るから、という言葉は企画屋としてはありがたいかぎりです。
B氏:ほんじゃ、疑問符が付いた仕様書は今後、風来の企画屋のまわりからは出ないってことでOK(笑)?
企:私と私のまわりからは出ないようにします(笑)。
プログラマーのやりがいとは?
企:では、最後にプログラマーのやりがいは何でしょう?
A氏:給料(笑)?
B氏:ワハハハハ! 確かに。最初は安かったけど今はねぇ~。
A氏:冗談はさておき、やっぱり買ってくれたり遊んでくれたユーザーさんの楽しかったとか面白かったという反応が返ってきたときですかね。
B氏:うんうん、それは大きい。
A氏:最近だとAm○zonとかで評価を直接目にする機会が増えたけど、昔はパッケージの中に入っているアンケートハガキとかでしかユーザーの声を聴けなかったもんね?
B氏:そういえばそうだね。アンケートハガキにわざわざ50円切手を貼って出してくれる人って、そのゲームが相当好きか、何か意見を言いたい人だったから、あんまり否定的な内容じゃなかったり、多少否定的でも「こうしてほしい」という改善点を書いてくれてましたよね。
A氏:うん、「ご意見をお書き下さい」という欄はそんなに大きくないのに、そこに小さな字でびっしり意見が書かれているなんてことはザラだったね。
企:ありましたねえ、アンケートハガキのご意見欄(笑)。
A氏:それが今じゃAma○onで買ってもいないのに「前作と何にも変わってないから☆1」とか普通だもんな。変わってねぇわけねぇだろ(笑)!
B氏:やりがい聞かれてんのに愚痴になってるし、口調がキツいよ(笑)!
企:(笑)。逆に言うと、そういうところの意見もしっかり見ていると?
A氏&B氏:見る見る!
A氏:企画屋は見ないの?
企:いやいや、見ますよ!
A氏:だよね。仮に☆1評価つけられても。
B氏:こだわるな(笑)。
A氏:いや、☆1をつけられてもそういった意見も見ているって話。どこがダメだったのかも含めて意見は大事だし、ありがたいから。プログラマーは人の意見を聞かなくなったら終わりだと思っているからさ。
B氏:そうだね。プログラマーはホントに人の意見を聞いて吸収するような人間じゃないと伸びないね。自分のやり方とか突きとおすのもいいけど、柔軟に対応できる頭を持ってないと厳しい。そういう意味だと本当にユーザーからの意見は自分たちの糧になってるし、つぎの作品へのやる気につながってる。
A氏:だから、つぎの作品は作り終わったゲームと関係が無かったり、続編とかじゃなくても前の失敗や反省点は直すようにしてる。
B氏:うんうん。
A氏:ま、そうは言ってもつぎの作品が面白くなるかどうかは企画次第だけどね。
企:うぉっと! こっちの責任すか(笑)!
A氏&B氏:そりゃそうだろ(笑)!!
A氏:俺らは仕様書どおりに作るだけだから(にやにや)。
企:……(イジワルだなぁ~、仕様書どおりに作ったらゲームじゃないって言ってたくせに)。
A氏:何か言いたそうだね!?
企:いえ、別に(ニコニコ)。
プログラマーさんとの座談会、いかがだったでしょうか。もう少し具体的な話や実際に発売されているタイトルがらみのディープな話もあったのですが、いろいろとマズいので割愛しました。人にもよりますでしょうし、経験がちがえば意見もちがうのでしょうけど、プログラマーさんならではの苦労するところ、大変なところなどをご覧いただけたのではないでしょうか。それでは、また!
著者プロフィール
- ゲームプランナー
- 中古ファミコン屋店長からスタートし、プログラマーを経てゲーム企画屋に。ディレクターも頼まれればやるし、プロデューサー経験もあるが「やっぱり企画が面白い!」と企画に固執いているオッサン。来年発売のダライアスをPS4版でやろうかVita版でやろうか悩み中。
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